かわいい (ページ27)

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O「宏光さー、今週の土日何してんの？」

酒を飲み、つまみを食べながらテレビを観ていると、ベランダで洗濯物を干している大倉にそう話しかけられた。

アルバイト終わりにスマホを開くと、大倉から来ていいよと返信が届いていたので、すぐさま家に向かった。

こうして今夜も、俺は人に縋っている。

「土日ー？土曜だけバイトだな…ってか土日ってクリスマスだろ」

O「やからなんやねん」

「いや、それ聞く時って遊び誘う時じゃん」

O「せやで？寂しそうなみっくんを、誘ってあげてんねんやんかー」

「さすがに、男友達2人でクリスマスはねーだろ」

ふーんと流した大倉が、Tシャツをバサっと伸ばす。最近、家に来すぎて、何着か俺の服も混ざっている。

大倉はクリスマスソングを鼻歌で歌いながら、チキン齧り付きたいなーなんて独り言を言う。

「お前こそさ、予定ないわけ？女の1人や2人」

O「ないから誘ってんねんやんけ」

「ふーん。まあ一緒にチキン齧ってやってもいいけど」

O「よっしゃーさすが宏光。ほな決定な」

「仕方なしな」

男友達と2人でクリスマスなんて…という考えが拭えたわけじゃない。だけど、そんな日こそ、どうせ1人でいても考えてしまって辛くなるだけだから。

今頃彼女と何してんのかなって、いいなーって…。

家でパーティでもするのだろうか、それともイルミネーションでも観に行くのか、高いディナーでも食べるのか。

まぁ…太輔くんが何をするにしろ、俺には関係のない話だ。

O「宏光さー、太輔くんと戻りたいって思わんの？」

大倉が徐にそんなことを言い出す。

「は？いや、ダメなもんはダメだし…これ以上、自分のこと最低だーって嫌いになりたくねぇし」

O「友達としてならあかんの？」

「ダメとかじゃないし、そうなりそうな感じだったけど…俺から距離取った」

O「お前、自分から距離取っといて、毎日そんな寂しそうな顔してんの？アホやなー」

は？と大倉の顔を見ると、それはそれは人のことをバカにしている表情をしていた。

なんなんだ。大倉にとって俺はいつでもアホじゃないか。彼女がいると言った時も、飛び出してきた時も、離れた今も。

「別に寂しそうな顔なんてしてねーよ」

O「そう？まあ、クリスマス楽しみにしとけー」

「なんだそれ」

トナカイのカチューシャ付けるか？と言われたから、丁重にお断りした。