かわいい (ページ24)

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出勤し、真っ先に小さい人を目につけ駆け寄る。

K「…あ、おはよう」

いつも通りの笑顔に見えた。

「北山さん、もしかして風邪引いてた？
濡れたまま飛び出したから」

K「ううん、引いてないよ。大丈夫」

「二日間返信ないから…心配したじゃん」

あの後、落ち着いた時にメッセージを何度か送ったが、今日までの二日間一切返信がなかったのだ。

北山さんは気まずそうに、あー…と頭を掻く。

K「メッセージとか送って、彼女さんに見られたら
また怪しまれんじゃないかって思って」

「あぁ…ごめんね。気遣わせて。
それに怪我とか…大丈夫だった？それもずっと心配で」

K「や、悪いのは…俺だしさ」

「…え、なんで」

K「怪我とかもないから。気にしないで」

ほんとに？と頬を触ると、パッと手を振り払われる。

北山さんは、やってしまったという風な表情で俺の顔を見たが、すぐ逸らした。

「…どうしたの」

K「いや、」

「それに悪いのは俺って…なに？
北山さんは何も」

何も悪くないわけないだろ、と北山さんに言葉を遮られた。

「彼女なら、分かってくれたから。信じてくれたよ」

K「信じてくれたよじゃないよ…それって騙してんだから。
大丈夫でした、で終わりじゃねぇんだよ。彼女さんの言ってることが正しいんだから、悪いのは俺の方なんだぜ。それくらい太輔くんだって分かるでしょ」

「じゃあそんなの、北山さんだけじゃない。俺だって」

K「…じゃあ、もうやめよう。分かってんなら、やめよう」

…え？

正直、そんなことを言われると思っていなくて、固まった。

さっきは逸されたのに、今度は北山さんのまっすぐな視線が強く刺さる。

K「人の幸せを壊した気分になっちゃってさ。すごい反省したから」

「…でも俺、北山さんとの時間すごい幸せで」

K「なら、友達でいーじゃん。コンビニで駄弁って、電話しながらゲームして。それだけで十分じゃん」

それでいい、確かにそう。北山さんの言う通りだ。

なんで俺…こんなに今絶望を感じてるんだ？

よく考えれば、なぜ俺は当たり前に関係を続けようとしていたんだ。彼女と和解するのに必死だったくせに。

K「…もしかして欲求不満？」

「へ…？」

北山さんが冗談っぽく笑う。

K「遊びなら…相手俺じゃなくてもいいだろ。
まだ遊びたいと思ってるなら、他の人探して」

はぁ、と一息吐いた。

K「女の子、とか…さ」

…え？

「ま、待って北山さん」

何でそんな寂しそうな顔するの。