かわいい (ページ21)

今日:15 hit、昨日:5 hit、合計:67,604 hit

２１ページ21

太輔くん家に2人で帰って、鍋を食べながら2人で飲んだ。

ほろ酔い状態で襲われて、シャワー浴びたいって言ってもダメって、無理って、そう言われてベッドに押し倒されて。

たくさん求められた。嬉しかった、幸せだった。

ちょっぴりいつもより恥ずかしいような、そんな熱い夜。

その後は一緒にお風呂に入って、たくさんキスして、一緒のベッドで抱きついて眠った。

ホテルとは違う、一人暮らしの小さなベッド。

太輔くんの香りに包まれて幸せだった。

でも、ほんのり、女の子の香りも混ざってるように感じた。それに気付いた時は、ほんの少し泣きそうになった。

それでも明日の朝は、一緒に適当なご飯食べて、テレビでも見て、キスでもして帰るんだろうかと想像して。

もしかしたら、朝からまた襲われたりして…なんてことまで考えて、やっぱり幸せだった。

なのに

「太輔？！なに？どういうこと？！」

俺たちは、女の人の怒鳴り声で目覚めた。

F「ちょ、びっくりした。なんで来るの」

「なんで来てるのじゃないから！昨日の夜から返信遅くておかしいと思ってたの！」

F「まって、なんで怒ってるの？返信遅かったから？」

「そんな小さなことじゃない！浮気でしょ？！これ」

名乗られたわけでもなければ、紹介もされていないが、彼女さんだということくらい、もちろんすぐ分かった。

少し涙ぐんだ顔で怒鳴りつければ、浮気でしょ、と俺たちを指差した。

F「何言ってんの。
男友達と寝てただけでしょ？落ち着いて」

「これ、前言ってた北山さんでしょ」

ギッと睨みつけられて、あ、はい、と頷いた。

歯を食いしばるような顔をした彼女さんは、ベッドサイドに置いていたペットボトルを手に取った。

蓋を開けると、残り半分ほど入っていた水を、俺の顔にぶっかけた。

F「ちょ、ちょっと！何してんの？！」

「まさかと思ってたけど、怪しいと思ってたの。女の勘。
昨日スーパーでベタベタしてたのも見てたから。私」

昨日の色々を思い出す。…確かに、男が男の顎を持ち上げるのはおかしいかもしれない。

けど、同性愛ってよく聞くようで、そんなにいるもんじゃない。

絶対に誤魔化せると思った。太輔くんのために。

「あの、彼女さん…不快な思いさせてしまったかもしれませんが、僕ら本当にそんなんじゃなくて…」

「うるさい！！」

乾いた音が部屋に響いた。