かわいい (ページ19)

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ひろみつー！と、でっかい声が聞こえた。

「は？！」

声の方を向くと、背の高い男が、長い腕をあげて左右にぶんぶん振っている。

俺と目が合うと、こっちへ駆けてきて、思いっきり抱きつかれた。

「ゔっ！！お前苦しい！！ってか、俺バイト中だし！」

…ここは某バイト先のスーパー。俺は太輔くんと喋りながら品出し中だった。

O「ちょっと油切れててさ！買いに来たら宏光みっけたから」

「あ、そう…だからって飛びつくなよ。犬かよ」

O「大型のな」

そう言いながら、頭をポンポンとされる。くそ、背高いからって…。

O「ほな、まあ顔見に来ただけやから。…あ」

「なに？」

でっけえ背を屈めると、耳打ちでまた宅飲みしようなと言われる。ハッと顔を見ると、バレないように太輔くんに指を刺していた。

「も…うざ、おまえ」

O「んはは、ほななー」

置いてけぼりだった太輔くんにも、大倉が軽くお辞儀をすると、太輔くんも会釈を返した。

F「…だれ？」

「え、あぁ…大学の友達」

F「すごい関西弁だね」

「大阪からこっち来てるからね」

F「ふーん。だから油切れたとか言ってたのか。一人暮らししてるってことだよね」

「そうだけど…」

品出しをしながらそんな変な会話をする太輔くんは、大倉が来る前の雰囲気と全然違う。

さっきまではいつも通り楽しそうに2人で話していたのに、なんだかツンとしている。

「太輔くん、どうかし…」

F「家行ったりするの？」

「え、あ、まあ…。って、ち、違う！」

変な空気だった意味に気がついた。

勘違いされている気がする。

F「…違うって、何が？」

「や、変な関係じゃないよって…意味
ほんと、宅飲みしてるだけだから」

F「じゃー俺の家でも宅飲みする？今度」

「…え」

目が合わなかった太輔くんが、こちらを見るとニヤッと笑った。

品出しのために台に登っていて、地面にいる俺とはいつも以上に身長差がある。

そんな上からの少し悪い笑顔にも、キュンとする。心臓が鳴ったのがわかった。

思わずボーッと見つめてしまった俺を見て、太輔くんが台を降りると、俺の顎に指を添えて顔を上げられた。

「な…っ、」

F「そんな今にも襲ってほしいみたいな顔、しないでくれる？」