かわいい (ページ16)

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北山さんに、男同士でも入りやすいホテルとかあるの？と尋ねてみたが、知らないと言われた。

じゃあいつもはビジネスホテルにでも入っているのかと問うと、ホテルに行ったことがないと答えが返ってきた。意外だった。

K「今までの人みんな一人暮らしだったし、ホテル高えからもったいねぇじゃん？」

と、理由はそういうことだった。

俺も一人暮らしだ。これなら終電なんて逃さず、俺の家に一緒に帰るべきだった。

今からタクシーで帰った方が安かったりするか…？と思ったが、いつも彼女が来ている場所だということが、その考えを後ろめさせた。

結局、どこでもいいだろと言った北山さんが、スマートになりきれない俺の腕を引っ張って歩みを進めた。煌びやかな夜の街を駆けていった。

適当に入ったホテルでは、誰とも会わなかった。

順番にシャワーを浴びた。

後から入った北山さんが上がってくると、キスをされた。

俺はそのキスを深め、体を押し倒した。

十分に唇を味わってから服に手を入れると、その手を握って止められた。

俺本当に男だぞ、なんて分かってることを言われた。

なんの抵抗もなく、いっぱい触った。

前からも後ろからも抱いた。

俺の下でよがる北山さんは、今までで一番可愛かった。

甘い甘い夜だった。

・

「…北山さん、起きて」

K「ん、うぅ〜」

「チェックアウト、もうしないと」

俺らはカップルじゃない。甘い朝なんてもんはなかった。

部屋についてるアラームに起こされた。チェックアウトの時間を知らせる機械の声。

それが聞こえているのか聞こえていないのか、横で眠り続ける北山さんをチェックアウトしないとなんて、現実的な言葉で起こした。

K「太輔くん今日なにもないの」

「うん。夜まで何もないよ」

K「そか。ふあ〜！寝起きでいきなり移動ってだりーなー」

起こして、と腕を伸ばされたから、引っ張った。

北山さんは、寝顔も、寝起きの顔も可愛い。

K「あんがと。歯磨いてくる」

下に落ちてる下着を拾ってそれだけ履くと、北山さんはモタモタと洗面所へ向かう。

スマホを触って待っていると、帰ってきた北山さんに名前を呼ばれた。

その声に顔を上げると、キスされた。

K「歯磨いてきた」

「…そ、そう」

結局、甘い朝になった。