【MASHLE】天使の少年 (ページ6)

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E p i s o d e . 5 ページ6

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▽side*Lemon*

──まるで、天使のような子だと思った。

底辺だなんだと、相応しくないと、そう言ってバカにされている私と彼を庇うように、間に割って入った鈴の音のような声。

大雑把に切られた薄い金髪に、ガラスを閉じ込めたような水色の瞳。この世に天使がいるならば、きっとこの子のことだろう。

Kroad「…なんだと？」

『……かの名門イーストンともあろうものが、こんなに頭の悪い教師を雇ってるなんてね。』

相手は教師だというのに、まったく怯まないその子。華奢で小さくて、儚げな"女の子"。

Kroad「お前…自分がアンヘル家の生まれだからと調子に乗るなよ？私はお前のことなど簡単に落としてしまえるんだぞ？」

『……本当に、可哀想なくらい話のわからない人…。』

アンヘル家。聞いた事がある。天使に愛された、加護を受け継ぐ一族だと。ああそれなら納得がいく。

──この子は、間違いなく天使に愛されている。

『僕がアンヘル家の生まれであろうと、なかろうと、アンタの頭の悪さは変わらないんじゃない？』

からかうように笑うその顔さえ魅力的。ダメですよレモン、あなたには彼がいるでしょう！！

自然と、惹かれてしまう。

腹が立って収まらなくなったのだろう、ルッチ先生は杖を取り出し、天使ちゃんへ向ける。あの顔に傷をつけられるってのなら、それはもう人間じゃないとすら思う。

『……手、出したら終わりなんじゃない？』

Kroad「黙れ」

ああ天使ちゃん(の顔面)が危ない！！！！

mash「やりすぎですよ」

バキ、と杖の折られる音がした。場は静まり返り、誰も声が出せない。なんせ、ルッチ先生が魔法を放とうとした瞬間、隣で黙って見ていたはずの彼が杖を砕くように折ってしまったのだから。

Kroad「だっ、だまれ！！お前らの言うことなんか──」

「静まれ！！」

ルッチ先生の慌てっぷりに笑う暇無く、大きな声が割って入った。

皆いっせいに視線を移し、空を見上げる。そこには、現イーストン魔法学校校長のウォールバーグ校長がいた。

Wahlberg「今から最終面接を始める。これより先は、ワシが試験を監督する」

イーストンの先生方って、普通の登場の仕方ができないんだろうか。

Wahlberg「それでは早速1人目と行こう」

何故か彼が連れ去られ、その場は、静まり返るみんなと、その瞬間でさえ美しい天使ちゃんだけになった。