E p i s o d e . 3 ページ4
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『……イーストンって、実は結構レベル低いのかな』
「そんなことを言っていられるのも今のうちだ」
僕の呟きに静かに反応を寄越したのは、水色がかった銀髪に、土星のようなピアスをした誰か。
僕より先に迷路を抜け出したらしい。さっきの文字列並べ、こいつもかなり早かったような。
『……急に何さ』
「……お前、"天使の加護"のアンヘル家出身だろ」
なんだこいつ。急に話しかけてきた癖に、冷たい目でこちらを見下ろしてくる。見下ろすなよ。
『だったらなに?』
「どうせ今まで天使だなんだと持て囃されて生きて来たんだろ。イーストンを軽んじるな。お前が今まで生きてきたような甘さじゃない」
なんだ、こいつは。何故こうも知ったような口を利く。
『……僕がアンヘル家に生まれた"加護持ち"だから、持て囃されてきたとでも?』
気に入らない。何もわかっちゃいないくせに。僕のことなど、何一つ、理解していないくせに。
『僕が、アンヘル家に生まれたから、甘さばかりで育てられたとでも?』
僕の苦労も、努力も、苦しさも、何一つ、理解出来ない癖に。
『僕の名前はA・アンヘル。確かにアンヘル家に生まれた"加護持ち"だよ。でも、
僕は、天使なんかじゃない…!』
いつもなら、どうと言うことはない評価。出会う人に少なからずこういうことを言われたことはあるし、どうでもいいと切り捨てたはずだ。
なのに。何故か、こいつにだけは、僕を僕として認めさせたくなった。
『"加護"なんて無くたって、僕はこの学校で一番になれる…!!』
精一杯に睨み付けて、いっぱいいっぱいになりながら服の裾を握る。まだ何か言うつもりなら、魔法を使うことだって────。
「……そうか、悪かったな。」
驚く程にあっさりと、銀髪は身を引いた。そのままローブを
またもや気分は晴れないまま、僕はぼおっと空を眺める。いっそ憎たらしいほど快晴だ。そろそろ、疲れたな。
座りたい、と思うと同時に、何故か地鳴りのような音が響き、最後にひときわ大きな音がした。
『……嘘でしょ、さすがに』
音の正体はすぐに判明した。…あのキノコ頭が、なぜか、壁全てを破壊してゴールしたのだった。
『普通、考えないだろ、そんなこと、』
第一印象はまさに"ヘンなヤツ"。
この世の常識なんて興味がなさそうな、そんな、気だるげな人だった。
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季節外れの雪だるま(プロフ) - 面白かったです!これからも更新お願いします🙏 (3月20日 11時) (レス) @page9 id: 12a58ce157 (このIDを非表示/違反報告)
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