噂の転校生 ページ2
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「ねえコナンくん聞いた!?」
江戸川コナンが小学校の自分の席に腰を下ろすや否や、同級生の吉田歩美が楽しげに話しかけてきた。
「今日ね、転校生が来るんだって!」
「転校生?」
コナンは思わず聞き返す。自分も大概変な時期にこの小学校に入学したが、今の時期に転校は何やら不信感を覚える。
首を傾げつつ、ランドセルから授業道具を出した。
『よし。じゃあ行ってくる。寂しくても我慢してねバーボン』
「そんなに遅刻したいんですね?シー?」
『小学生にベレッタ向ける大人にはなりたくないね、キール』
校門から割と離れた位置に止めた車から、綺麗な銀髪の少女が颯爽と降り立つ。背負った真っ赤なランドセルと共に、小さな手を振りながら歩き出した。
「気を付けるのよ、シー」
『わかってるよ、ばいばいキール』
キール、と呼ばれた黒髪のその人は、幼い頃の弟に僅かにシードルを重ねながら、心配そうに眉を寄せた。
『あーあベルも来てくれたらもっとがんばるのに。』
防犯ブザーを揺らしながら、校門をくぐり、無事に着いたのを見届けたあと、車はゆっくりと走り去った。
『はじめまして、海外から転校してきました、東江Aです。よろしくおねがいします』
教室中にわあ、と歓声が広がった。それもそのはず。東江Aと名乗った少女は、綺麗に結わえられた銀髪に、青空を切り取ったような碧眼の持ち主だった。
がたり。コナンは突然音を立てた隣の席の灰原哀を見遣る。彼女の表情を見て、コナンは少しだけ焦りを感じた。
「おい、おい灰原!」
できる限り小さい声で聞いてみるも、未だに哀は俯いたまま、冷や汗をかいていた。質問攻めにあっている転校生に厳しい視線を送ると、ばち、と視線がかち合ってしまう。
「っ」
『…。』
間違いねぇ、アイツは、
「「(組織のメンバーだ)」」
コナンと哀の思考は完全に一致した。
「Aちゃん!」
Aがランドセルに荷物を詰め込み、そそくさと帰り支度をしていると、見事隣の席となった歩美に声をかけられた。
『なぁに、あゆみちゃん』
「一緒に帰ろ!」
Aは一瞬言葉につまる。今朝のあそこにお迎えが来ているのだ。しかし、友好関係というものは大切にしなければならないとベルモットに教わった。
『いいよ』
「…シーからだわ。……嘘、あの子友達と帰るって…」
バーボンの苛立ちに磨きがかかったことなど、シードルが知るはずもなかった。
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ロン(プロフ) - めちゃくちゃ好きです!最近で1番ハマってます!夢主ちゃんかわいい (9月30日 22時) (レス) @page8 id: 40ab8ae48d (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 夢主が好き💚 (9月22日 21時) (レス) @page3 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
たぬきそば - どストライクすぎてドッペルゲンガーなんじゃないかと思った...。好きです...。 (9月21日 1時) (レス) @page2 id: b27f53e27a (このIDを非表示/違反報告)
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