連絡先交換作戦 ページ8
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『闇より出でて闇より黒くその穢れを禊祓え、』
教わった通り、呪力を込めてイメージしてみる。何も起こらないよどうせ、などと諦めていると、空に黒いインクのようなものが広がり、わたしを中心に、ドーム状に何かが張られた。
「結界術の方はまあいんじゃねーの」
後ろで腕を組んで仁王立ちしているのは五条さん。"帳"というこれは基礎的な結界術らしい。お姉ちゃんなら、簡単に出来たんだろうなあ、なんて。
ふと、ポケットに振動が走った。突然だった為少々驚いたが、慌てて通話開始のボタンを押した。
『っはい、』
「芹谷三級術師に任務が入りました、校門前でお待ちしております」
補助監督さんの声が淡々とそう告げた。今せっかく五条さんが色々教えてくれていたのに、タイミングが悪い。断らせてくれなさそうな口調だったし、そもそも断れるのだろうか。ぐるぐると悩んでいれば、五条さんが不審がって近付いてくる。思わず近付かれた分離れると、五条さんは心底嫌な顔をした。
「オマエなに?俺が嫌いなの?」
『ぁ、いや、違っ、』
違う、とはっきり言えない。だって背高いし、口調怖いし、サングラスだし。何も言わずに顔を逸らすと、頬をがしっと掴まれて、無理やり五条さんの方へ向かされる。
『っひっ、』
首痛い、怖い、なに。
「人と話す時は目見て話せってオネエチャンに教わらなかったか?」
にやにやしてる、ほんとに怖い。もういいや、任務を口実に逃げ出そう。決意したわたしは頬を掴んでいる五条さんの手を振り払い、頑張って目を合わせる。
『に、任務、行く、…ので、また、今度』
「んっとに顔だけは
つかんな任務行ったところで死んで帰ってくんだから、断れよ」
『っ、そんな、弱くない、です』
「オマエが弱いとか弱くねえとか言う問題じゃねぇの。上からはめられてんに決まってんだろ。行ったら死ぬぞ」
一級だの特級だの上層部はいくらでも強いヤツ抱えてんだ、と五条さんに言われるが、行かなきゃいけないものは行かなきゃいけないのだ。
『でも、行かなきゃ。困ってる人が居るんだから、』
「はぁ、…メンドクセ。」
五条さんはどうなっても知らねえ、とわたしに背を向けた。わたしは靴の向きを変えて校門前にむかおうとした。
「待て。携帯貸せ」
まだ引き留めるのか、この人。もうめんどくさいから、と大人しく携帯を出した。しばらく弄っていたと思えば投げて返された。
「どーしてもっつーときは気が向いたら助けてやるよ」
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nono(プロフ) - 救済してほしいです!更新待ってます! (10月28日 13時) (レス) @page13 id: 9ef243ee9f (このIDを非表示/違反報告)
カリフラワー - 好きです!!!救済してほしいです!更新を楽しみに生きます!! (10月1日 17時) (レス) @page13 id: f9715fa0cb (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - 救済してほしい! (9月10日 18時) (レス) @page13 id: 23ef5c5b40 (このIDを非表示/違反報告)
ねこねこさん - 普通ならバーカっていうところをばあかって言ってるの可愛すぎる!更新待ってます! (8月17日 23時) (レス) @page13 id: ecfb4bc453 (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - 救済してほしいです…!!めっちゃ好きです更新頑張ってください!!! (8月17日 20時) (レス) @page13 id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
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