確かに違うんだ ページ4
・
頭が冷えたのか、教室の扉を開けて戻ってきた五条。教室には夏油と家入しか居らず、夏油がおかえり悟、と五条を出迎えた。
「……あいつは、」
「芹谷さんなら、寮へ荷物整理に行ったよ。」
家入はこちらに見向きもせずに煙草をふかしていた。いつもより吸ってんな、などと言った野暮なことには口を噤んで、五条は舌打ちをした。
「悟、いくら気に食わないからと言って、あれは良くないよ。後でちゃんと謝れ。」
「……わーってるつの。」
各言う傑も、芹谷さん、なんて他人行儀な呼び方をしている癖に、なんてやはり野暮なことだろうな、と、またもや口を噤んだ。
「硝子もだよ。そろそろ顔を合わせて話せ」
家入は、くわえていた煙草を右手に持ち変え、静かに夏油を見据えた。
「
自分の手で傷を治したのだから、死んだという事実は、私が一番よくわかっている。いつかひょっこり、なんて期待も抱けないほどに、痛々しく突きつけられた現実だった。
「それを私が、私達が必死に受け入れようとしてんのに、なんか、馬鹿馬鹿しくてさ」
紛れもなく、本音だった。そう言ってまた顔を背けた家入に、夏油は今度こそ何も言えなかった。それでも、と追いかけて紡がれた言葉に、静かに耳を澄ました。
「それでも、
どれだけ
それがどれだけ難しいことなのか、わかってはいたのだけれど。
それぞれ黙り、静まり返った中、がらりと音を立てて、教室の扉が開いた。
「お前ら、いつまで立ってるんだ、さっさと座れ。」
「芹谷は」
五条が椅子を引きながら夜蛾に問いかける。夜蛾は僅かに視線を逸らしながら答えた。
「…任務だ」
「初日でですか?ありえない、伝達ミスじゃないんですか?」
夏油が思わず、と言った風に立ち上がった。五条はうげ、と舌を出し、家入は変わらず頬杖をついていた。
「どうせ上層部の嫌がらせだろ」
吐き捨てるような五条の言葉に、夏油は顔を顰めた。夜蛾はお手上げだ、とでも言いたげに「自習」を言い渡して教室を出た。
「行くぞ悟」
「助けてなんに何の」
「
飛び出した二人に、家入は静かにため息をついた。
704人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nono(プロフ) - 救済してほしいです!更新待ってます! (10月28日 13時) (レス) @page13 id: 9ef243ee9f (このIDを非表示/違反報告)
カリフラワー - 好きです!!!救済してほしいです!更新を楽しみに生きます!! (10月1日 17時) (レス) @page13 id: f9715fa0cb (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - 救済してほしい! (9月10日 18時) (レス) @page13 id: 23ef5c5b40 (このIDを非表示/違反報告)
ねこねこさん - 普通ならバーカっていうところをばあかって言ってるの可愛すぎる!更新待ってます! (8月17日 23時) (レス) @page13 id: ecfb4bc453 (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - 救済してほしいです…!!めっちゃ好きです更新頑張ってください!!! (8月17日 20時) (レス) @page13 id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ