メーデー、誘拐されてます【2j3j】

剣を持てる強さは ページ20

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正直に言えば確かに幼さは感じた。リスナーが甘やかしたくなる無邪気さも理解できた。彼女の持つ重たい何かが、それらを加速させているのも分かった。



でも、それら全てを、彼女が真正面から受け止めに行かないことだけが変に引っかかった。




好かれるのを嫌がっているような。




リスナーがコメントしていた。剣持はまだまだだな、なんて言葉。そのまま返してやりたいくらいだ。




配信中も何か的確な情報はないかと探っていた。後輩のハッカーに逆探知だって頼んだ。




それなのに、何も掴めない。




「くっそ……」




初めて彼女の声を聞いたとき、ああ助けてやりたいって思ってしまった。




不思議で綺麗な声だった。



必死に隠した声の裏側の淋しさは、長年リスナーの『言葉』だけの中で気持ちを探って来たゆえに気付けたのか。



一体どうすれば。




「僕は、何をすれば、……」




何もしなくとも、時間は過ぎていって、いつか誰かがあの子へとたどり着けるかもしれない。



なにかした方が、中途半端に苦しいだけじゃないのか。




僕は、僕は、……




「一度やると決めたこと、すぐ放り出せる性格だったら良かったよな」




何か、何かがあるはずなんだよ。




脱力した体を叩き起こす。真っ暗な画面に手を伸ばした。




「あいつなら、絶対。」




画面に広がるショッキングピンクの頭。こいつなら何か知ってるはずだ。




「夕陽、…」




僕が何にもたどり着けなくてもいい。誰かに無駄だと笑われてもいい。




「上等、」




最後までやってやる。無駄だって僕が選んだ最後にたどり着ければいい。少なくとも、それが間違っていたことの証明になるのだから。




「出ろよ、夕陽、……」




僕の何がここまであの子を救いたいと思わせるのかわからない。それでも、




それでも、



いつか、あの子が心の底から笑えるように、

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