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「まさか、同じ学校だとは思わなかったな」
『はい、でも一緒でよかったです』
昨日と比べて随分と表情が柔らかくなった。
同じ物が見えているって安心するもんな…。
自分も名取さんに出会った頃を思い出す。
有名俳優だし、笑顔が胡散臭かったし、祓い屋だし……。
最初の頃の印象は良くなかったけれど、同じ物が見えているという現実に酷く安心した。
「おーい！夏目ーー！！」
今では、顔を合わせれば挨拶を交わし走って来てくれるし、下らない事で笑い合える友達がいる。
「おはよう。西村、北本。…A、北本と西村。
彼等は視えないし俺の事も知らないけど友達なんだ。」
最後のは二人には聞こえないよう、トーンを落として告げる。
「あれ、隣にいるの夏目の連れだったのか」
「おおー！可愛い！彼女？」
俺達に追い付いた二人は初めて見る彼女に過剰に反応する。
彼女は二人の目を避けるように半分、俺に隠れた。
「ああ、昨日から一緒に藤原家に住むことになったんだ。十六夜Aだよ。俺達は、義兄妹になるのかな」
『よろしくお願いします……』
「「ああ、よろしくな！」」
“無愛想”なんて思った自分のバカ。
頑張って勇気を振り絞ってる姿かわいい。
田沼と瀧には会わなかったから、四人で学校に向かった。
口数の少ないAだけど、俺と仲良くしてくれてるだけあって北本も西村もゆっくり彼女の言葉を待って段々と打ち解けていった。
Aは転校初日だから職員室まで案内して、それからは学年も違うので三人で教室に戻った。
「帰りは校門で待ってるね。」
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作者名：藤咲 | 作成日時：2018年8月16日 2時
