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「大毅、」
放課後、久しぶりに私から大毅のクラスへ足を運んだ。
「A、」
「今、時間ある?」
大毅は何も言わずについて来てくれたから、私もそれ以上何も言わず、学校の中庭へ向かった。
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「…、ごめんなさい。」
まず最初に口にしたのは、一番言いたかったこと。
「大毅のこと、沢山傷つけた。だから、ずっと謝りたかったの」
大毅はちょっとだけ瞳を揺らした。
「ううん、俺もごめんな。急にあんなこと言うて迷惑やったやんな」
「ちがうの!」
迷惑なんかじゃない。
むしろ嬉しかったんだよ。
「一番近くで大毅のこと見てたのに、苦しみに気づいてあげられなかった。それがすごく悔しかったの」
私のちょっと複雑な気持ちが伝わってほしかった。
だからいろんなこと言って、気持ちが高ぶって、また涙で景色が滲む。
「一回だけ、ええ?」
私の瞳からしずくが一滴溢れたとき、優しいぬくもりに包まれた。
ためらいがちに、でも強く、そして優しく。
大毅の体温だった。
「俺、応援しとるから、」
大毅の声は少し曇っていて、肩は小刻みに震えていた。
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きっと初めてだ。
大毅の弱いところを見たのは。
ずっと私が縛っていた。
大毅の自由を、奪っていたのかもしれない。
そんな事実を目の当たりにして、胸が痛くなった。
大毅、ごめんね。
ありがとう。
ぎゅっ、って私も強く大毅を抱きしめた。
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作者名:えぇふぇす | 作成日時:2018年2月15日 23時