○35 ページ35
.
「ん、ベリーちゃん…?」
.
夢かと思った。
「の、のんちゃんっ!」
大きな瞳を私の方に向けて、あの甘い笑顔で笑った。
その笑顔に、胸がトクンとなった気がした。
「先生呼ばな…」
ナースコールに手を伸ばすのんちゃんを止めて、私が代わりに押した。
看護師さんが来るまでの間、のんちゃんと久し振りにゆっくり話した。
でも、そんな幸せな時間はすぐに過ぎてしまい、部屋に沢山の人が入ってきて私は追い出されてしまった。
外はもう暗くなっているけど、今日のうちにもう一度のんちゃんと話したかったから、いちごミルクをふたつ買って待っていた。
.
部屋から先生やら看護師やらが出てきて、のんちゃんの部屋に入ろうと扉をノックした。
「のんちゃん、私」
「どうぞ」って返事が来ると思って、扉の取っ手に手をかけた時だった。
「ベリーちゃん。今日は帰って」
初めてだった。
のんちゃんに、会うのを拒まれたのは。
「のんちゃん…?」
「やから、帰ってって」
「でも」、そう言おうとした時、
「帰れって!迷惑やねんっ!」
いつものあの甘い声とはかけ離れた、低く怒りに満ちた声で、正直怖かった。
迷惑、か。
そうだよね。毎日毎日会いに来るなんて、鬱陶しいよね。
ごめんね、のんちゃん。
もう、来るのはやめるよ。
.
また私の居場所が一つ減った。
そんなショックと結局何もできなかったわたしの弱さに、音もなく涙が溢れた。
もう何もかも、どうすればいいのかわかんないや。
.
213人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えぇふぇす | 作成日時:2018年2月15日 23時