泣かないで、笑って？（桃） (ページ16)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:76,576 hit

○１６ページ16

.

「…、のんちゃん。私知りたいの、のんちゃんの事」

.

耐えきれなくなったのか、また、弱い嗚咽を漏らしながら泣き出した。

.

「…、なんでっ、なんで俺やねん！病気はなんでっ、俺を、選んだんっ？」

のんちゃんの頬を伝う涙は、拭われる事なくシーツにシミを作っていく。

.

「もう俺っ、生きる意味あるんかなぁっ？」

.

泣き叫ぶのんちゃんに、言ってあげられる言葉がなかった。

どうすることもできない自分が悔しくて、情けなくて、

私の頬にも涙が伝った。

.

「のんちゃんっ、ごめんねっ。私、何もできなくてごめんっ、」

一度溢れた涙は、止まることを知らない。

.

ごめん、ごめんのんちゃん。

私がもっと強かったら、のんちゃんに何かしてあげられたかもしれない。

声をかけてあげられたかもしれない。

.

でも私は何も出来なかった。

声をかけてあげられなかった。

.

…、弱かった。

.

.

その時、あの言葉を思い出した。

のんちゃんが、私にくれた大切な言葉を。

.