〜神谷浩史〜あなたに近づきたくて

歓迎会〜3〜 ページ47

「ね、Aちゃんどこに住んでるの？」


不意に出てきたその質問に、


答えを出すのに、Aは少し躊躇った。


何故なら、費用削減のために竜と住んでいるからだ。


兄妹なのだから何もやましいことはない。


しかし、自分もいやいやだったので言うのが躊躇われたのだ。


ｰｰｰｰまぁ、大丈夫だよね。


そう考えがまとまり、


「えっと、兄とマンションで…」


「「え！？」」


沢城と佐倉の声が重なる。


「マジで！？嫌じゃないの！？」


沢城が身を乗り出して聞いて来たため、少し戸惑いながら


「嫌、ですけど…」


そう答えると、佐倉が提案した。


「あ、じゃあ私んとこ来る？」


「え」


いきなり過ぎる発言に脳の理解が遅れ、少し間を置いてから


「え、いや、でも初対面ですし、迷惑はかけられないです」


ｰｰｰｰそれに、竜が煩そうだ。


そう断るのが普通だろう。


しかし、これくらいじゃ引いてはくれなかった。


「だって嫌なんでしょ？全然迷惑じゃ無いしさ」


「そうだよ、って私が言うのは可笑しいけど」


そうやって笑う二人に、気の弱いAは


断り通すことなどできなかった。

同居→←歓迎会〜2〜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す