読み聞かせ会 ページ9
兄｢ただいま〜♪｣
るんるんな気分で、きゅー子のいるベランダに向かう。
兄｢あ！りょうぎ！お米のとぎ汁、ﾍﾟｯﾄﾎﾞﾄﾙに入れて捨てないで！｣
ぽよ｢え？なんで？｣
兄｢さあ、きゅー子。君のために、話を聞かせてあげるね！｣
ぽよ｢無視かい、まあいつものことか。僕も、聞きたい！｣
きゅー子に、向かって絵本を見せながら読み始める。
暖かい春の日。
ふわふわ揺れるたんぽぽの綿毛。
風が吹くと、｢さようなら｣と旅立ちが始まる。
その中の、一番小さい種は兄弟に馬鹿にされていた。
｢お前は、小さいから飛べずに水に落ちる！｣
｢僕は、小さいから少ない風でも遠くにいける！兄さん達とは違うんだ。｣
小さい種は、風に運ばれながら目的地を決めている。
｢もし、行けるならﾀﾝﾎﾟﾎﾟの集まるあの、草原に行きたいな！｣
小さい風に運ばれながら、人の多い道を進む。
サラリーマンのスーツに付いたり、車の風に来た道を戻ったりもした。
途中、雨が降り出した。
なんとか、避けながら目的地に急ぐ。
しかし、大きな雨粒に呑まれ固い固い、土のないｺﾝｸﾘｰﾄの上に叩きつけられた。
もうだめだ。
土が無ければ生きられない。
そう思っていたら、小さな小さなｱﾘさんがｺﾝｸﾘｰﾄのはじの、僅かだが土のあるところに連れて行ってくれた。
それから、一年が経ち
車の行き交うｺﾝｸﾘｰﾄの道の隙間に、真っ白な純白を身にまとったﾀﾝﾎﾟﾎﾟ。
｢やあ、大きくなったな。｣
｢ありさん。ありがとう、あなたのおかげさ。｣
｢次は、子供たちの番だな。｣
｢ああ、そうだな…｣
そして、風に揺られ旅立ちが始まる…
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作者名：ぎゅぎゅっと参上 | 作成日時：2012年3月6日 21時
