全方位から狙われています。【名探偵コナン】２

蘭ちゃんと再会１ ページ30

・





仕事しまくって１週間が経った次の日、休暇をもらえることになった。降谷さんに「ポアロにでも顔を出しに行ってこい」と言われたので、早起きをしてすっかり顔を出さなくなってしまったポアロへと向かった。

「……梓さん。お久しぶりです。」
「Aちゃん！風邪を引いたと安室さんに聞いたけど大丈夫だった？」
「はい。おかげさまで。」

温かい笑顔で梓さんが迎えてくれた。降谷さんの計らいによって携帯を見る余裕がなかった私は風邪を引いたことになっていたようだった。ポアロのエプロンを身につけ、仕込みのチェックをする。日曜日の昼下がり。少し忙しくなってきた頃の店内に、訪れた相手を見て心の声が声が漏れた。

「……嘘でしょ。」
「こんにちは。Aさん。」
「どうも。」
「あ、安室さん！お久しぶりです！」

だから、休暇をくれたのか。私にポアロへ行ってこいと言ったのか。たしか、今日は朝早くから現場に出ていなかったっけ。じゃあ、仕事帰りということになる。さすがトリプルフェイスだな、なんて思いつつもニコニコする降谷さんもとい安室さんに私は頰がひきつるようなぎこちない笑みを返すことで精一杯だった。

「来る途中でコナンくんと蘭さんをお見かけしましたよ。もうすぐ来るそうです。」
「え、蘭ちゃんが！？」
「お知り合いなんですか？」

蘭ちゃん来るの！？会えるのはもちろん嬉しいけれど、就職したあたりから全く連絡を取らなくなった中の1人であった。新一くんの時みたいにまた怒られるかもしれない。
いつか会って順を追ってちゃんと話そうと思っていたのに、これではあまりに心の準備が足りてない。

自分のことにいっぱいいっぱいになっていると、「無視するな」と言わんばかりにジト目の降谷さんに足を蹴られた。痛い。
これはまた、返ったら拷問パターンですか。

「着替えてきます」と少々拗ね気味の降谷さんがそう言い、奥の部屋へ向かうと同時にポアロの扉はカラン、と音を立てて開いた。反射的にそちらの方を見ると、降谷さんが言っていたのようにコナンくんと蘭ちゃんが立っていた。





・

蘭ちゃんと再会２→←社畜ライフ再開４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す