全方位から狙われています。【名探偵コナン】２

松田さんの話１ ページ24

・





「久しぶりだし、もうちょい飲むか。」

頰にひやりとした感覚。振り返ると、どこからか缶チューハイを持ってきた松田さんはにやりと笑って私の腕を引いた。
食器を片付けていた途中だったけれど、私もちょうど飲みたいと思っていたし、そのままお酒に付き合うことにした。
リビングにはいくつかお酒が置いてあったが、きっと明日になれば降谷さんが意地でも私を職場に連れて行くだろうから、二日酔いで上司に怒られないよう度数が低めのやつを選んだ。

「こうして飲むのいつ振りだ？」
「一年ほど前ですね……いや、ホントにお久しぶりです。」
「公安が駄目なら、俺に連絡してくれば良かったのに。」
「松田さん意地悪なんで、私から連絡来たら速攻降谷さんに連絡しちゃうじゃないですか……」

松田さんはくくっと笑うと、「あながち間違ってねえ。」と返した。
酒をちょびちょび飲みながら、１年の間に起こった出来事をそれぞれに話す。アメリカに着いた瞬間、テロ現場に遭遇したことを言うと腹をかかえて笑われた。しかも、その危機的状況を掻い潜った策がハニートラップだと知ってさらに爆笑された。

「アメリカにも貧乳好きがいるもんなんだなっ、」
「殴りますよ！？」
「くくっ……俺にもハニートラップかけてみせてよ。」
「イヤです。絶対にしません！」

これでも、貧乳気にしてるんですよ……！？確かに体力勝負である公安では無い胸が役に立っているけれど、女の魅力に関して言えば、ちっとも役に立っていない。そろそろ結婚も考える歳になって来たし、真面目に豊胸サプリメントでも飲もうかな……。

アメリカでのことをたくさん話して、日本のことも色々とおしえてもらって、次第に酔いが回りほろ酔い状態になった松田さんが少し雰囲気を変えて、ぼそりと言葉を零した。

「……去年も萩原の墓に行けなかった。」
「そう、ですか。」
「何年たっても慣れねえ。毎年あの時期になると胸がソワソワして落ち着かないんだ。何で萩原が死ななきゃいけなかったんだろうって。後悔がある。他にも沢山考えることがある。爆弾魔も捕まえられていない俺にアイツに会いに行く権利はあるのか。お前が生かしてくれただけの俺に。」





・

松田さんの話２→←いなくなるかと思った５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す