全方位から狙われています。【名探偵コナン】

バーに行ったら黒の組織２ ページ37

・





……待てよ。
ジン？ベルモット？
たしか、降谷さんと景光くんのコードネームはバーボンとスコッチ。
お酒の名前である。
そして、ジン……ジン・トニックもベルモットもお酒の名前だ。
よく見ると、ベルモットさんも黒を基調とした洋服を着ている。
これは単なる深読みかもしれないが、まさか、この人たち……黒の組織の人間？

「貴女、名前はなんと言うの？」

言いたいことを言い終えたであろうベルモットさんは、ジンさんに向けていた視線をくるりと変え、私の瞳を捉える。
本当は適当な偽名を考えたいところだが、上手く視線が逸らせなくて、頭が回らない。
全てを見透かされてそうなその瞳に少しの恐怖を感じる。

私の名前は検索されても、公安のセキュリティが守ってくれるはずだ。
むしろ、私の使っている名前が偽名だとバレた時の方が怖い。
……きっと、大丈夫。

「……Aです。」
「へぇ、良い名前ね。私はベルモットよ。よろしくね。」

ぱちりとウインクをされる。
危うく、惚れてしまうところだった。
こんな美人と敵対するなんて……考えただけで胸が苦しい……。
ベルモットさんの美貌に見惚れていると、ベルモットさんは端に居たジンさんを連れてきた。

「ほら、Aに自己紹介して？」
「……ジンだ。」

フレンドリーなベルモットさんに比べて、ジンさんは口数の少ない方だった。

それからベルモットさんが「一緒に飲みましょう。」と誘ってくださり、このチャンスをものにしようと、探りを入れながら３人で雑談をしていたが、さすが黒の組織と言ったところでジンさんもベルモットさんも全くボロを出さない。
ああ……まあ、いいんだけどね。
丁度、一人で飲むの寂しいって思っていたところだったから。

「A、連絡先交換しない？ほら、もう会えないかもしれないじゃない？」
「ぜひ……！お願いします。」

そして、ちゃっかり連絡先を交換して貰った。
黒の組織はこう易々と連絡先を交換して良いものなのか……。
きっと、携帯を二台持ちしていたりするのだろう。
じゃあ、今交換して貰ったのはプライベート用？
それって、降谷さんが持っていない方なんじゃないか。レアだ、レア。

ちょっと嬉しい。





・

バーに行ったら黒の組織３→←バーに行ったら黒の組織１

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す