全方位から狙われています。【名探偵コナン】

赤井秀一という男２ ページ13

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女の武器、話術や身体を巧みに使ったハニートラップ。
馬鹿げた作戦だという事は重々承知だ。
しかし、髭を伸ばしっぱなしにして、目元に痛々しい傷が入ったバカな男なら引っかかってくれそうな気がする。

……嘘。運任せの賭けだ。
私の脳みそではこんな愚策しか思い付かない。
たまには、計画通りの作戦ではなく、自分の運に任せて見るのも面白いだろう。
それもこれも、降谷さんがそばに居ない今だから出来る事だ。

この場に降谷さんがいたら、私がこんな目に遭うはずも……いや、この場にいない人のことを考えても仕方がない。諦めよう。

大男は上目遣いで訴える私の表情を見てニヤリとし、腕を引き、立たせて離れた所へ移動した。
マニュアル通りでない大男の行動にテロ組織の大男たちは困惑して、一斉にこちらを向く。

一斉に視線が私に、集中する。

「What are you doing⁉(何をしている！？)」

見兼ねたテロ組織の一人が、慌てた様子でこちらに近付いてきた。

「It's said that she'd like to be my girlfriend.(彼女は俺の女になりたいそうだ。)」

そう言い、自信ありげに私の腰をいやらしく抱いて来る大男。
……気持ち悪い。お前よりいい男なんて、沢山いるわ！
そうツッコみたくなる気持ちを抑えて、我慢する。この状況を打破するタイミングまであと少し。

「Idiot!It's a trap!(馬鹿か！それは罠だ!)」

今、大男が叫んだこの瞬間！
叫ばれた大男が動揺して力を緩めた直後、腰に回る腕からするりと抜け出し、大男の顔面に回し蹴りを食らわす。
続いて、近付いてきた男の拳銃を蹴飛ばし、手に付いている拘束具で顔面を叩いてから、足を引っ掛けて地面に叩きつける。
休んでる暇はない。自分から、敵の元に向かって次々と敵を薙ぎ倒す。

慣れたテロ組織でなくて、良かった。
私の異常すぎる行動に驚いたテロ組織は一人として、銃を発砲しようとしていない。

……FBIはまだだろうか。
いくらなんでも、全員を倒すまでは体力が持たない。
腕が不自由な私の体は通常の何倍も疲労するスピードが速かった。
それに今はいいが、このまま私だけに注意が向き続けるとは限らないのだ。

目の前の敵に蹴りを一発、食らわせようとした瞬間、後ろから気配を感じた。






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