検索窓
今日:13 hit、昨日:6 hit、合計:94,468 hit

47 ページ7







そう自分の本心に気付いた頃にはもう遅くて、買い物帰りの母さんに「ビショビショじゃない。」と家に連れて帰られた。
真っ先に浴びた暖かいシャワーも、風呂上りに飲んだホットココアもいつもより数段に暖かくて、その暖かさが余計に涙を誘った。
気付いた頃には枕がびしょびしょに濡れていて、飲みかけのココアも冷め切ってしまっていた。
どれだけ声を殺して泣いても、涙は枯れることを知らなくて、泣けばすっきりすると聞くが、そんなこと全くなくて泣けば泣くほどAさんとの思い出が蘇ってきてつらくなっていくばかりだった。
Aさんが俺に発した言葉の一語一句全て、声のトーンが鮮明に蘇ってきて苦しい。
出来ることなら、昨日に戻って何としてでも劇を開催させないだろう。
ガキみたいな考えだが、そんな浅はかな願いに縋ってしまうほどに俺の心も体もすっかり衰弱しきっていた。

ああ、明日から俺は何を楽しみに生きて行けばいいのだろうか。
Aさんと出会う以前の事が思い出せない。

失恋は時間薬だそうだ。
でも、今の俺にはAさんを忘れることなんて、出来る気が全くしなかった。
そんな気持ちで、いつの間にか泣き疲れて眠ってしまったみたいで、気付けば朝だった。
予想はしていたが、体温計は39.8度という数字を叩きだしていて、通りで体がとてつもなくだるいのだと納得が行った。

「京治、お母さん仕事だがら行くわね。学校には連絡しておいたから。たくさん寝て、元気になるのよ。」

スポーツドリンクと冷えピタを持ってきた母さんに曖昧な返事を返して、またベッドに寝転がった。
大雨に打たれて返ってきた俺に何があったとか、深く聞いてこないあたり母さんなりにも気を遣ってくれているのだと思った。
もし俺のちょっとの優しさが母さん譲りなのなら、感謝しないといけないな。
昨日はあれだけ泣いたが、今は体がだるすぎて何かを考える余裕もなかった為、以前よりつらくはなかった。
錠剤を飲んで、する事もないから、寝る。
それから、8時間経っ頃だろうか。
午後4時、苦手な女の声によって俺はまた目覚めた。

「あ、やっと起きた!!京治くん!茉莉が看病してあげる!」

うるさい。
ハッキリ言って、うるさいという感情しかこの女に湧かなかった。





48→←46



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (239 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
735人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 赤葦京治 , ヤンデレ   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- あっあっあっ…ァァァァァ!!黒尾ぉぉぉぉ(´;ω;`)無茶苦茶面白かったです!!! (2019年5月12日 21時) (レス) id: cd5b3b3e38 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 赤葦ぃぃぃさん» 赤葦ぃぃぃさんコメントありがとうございま!可愛いと言ってくださって嬉しいです……!励みになります! (2018年10月1日 21時) (レス) id: 91c2879456 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みゆみゆさん» みゆみゆさんコメントありがとうございます。返信遅くなってしまい、申し訳ないです。ヤンデレ葦可愛いですよね!作者の大好物です。応援ありがとうございます! (2018年10月1日 21時) (レス) id: 91c2879456 (このIDを非表示/違反報告)
赤葦ぃぃぃ - やだあかーしかぁいい(悶え中)ぐぅう可愛い……!更新頑張ってください続き待ってます! (2018年9月30日 17時) (レス) id: a076412724 (このIDを非表示/違反報告)
みゆみゆ(プロフ) - えっ、どうしよう…可愛い…(ヤンデレ赤葦を可愛いと言ってしまう重症者) 番外編の続き、お待ちしてます! おもしろかったです(*´`*) 応援してますからね〜|壁|´`) (2018年8月9日 22時) (レス) id: 3935b1d5f6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e  
作成日時:2018年7月21日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。