俺の息子がクソガキな件5 ページ19
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樹をベッドに寝かせ、布団をかける。
……今、離れるのは流石に可哀想か。
そう考えた俺は渋々、樹が寝るまで側にいてやることにした。
とくに話すこともなく、俺と樹の間には沈黙が流れる。
樹は数分経った今も、チラチラと俺の顔を見て、こちらの様子を伺っているだけで、一向に寝る気配がない。
寝るのに時間を要するのは仕方がないが、チラチラと俺の顔を見るのは違うと思う。
何か言いたいことでもあるのだろうか。
樹の視線には気付かないフリをして、敢えて触れずそのままやり過ごそうと試みる。
「……パパ」
決心が付いたのか、口を開いた樹。
「何?」
「パパはさ、僕のことがきらい?」
「えっ。」
予想外の発言に俺はたじろぐ。
まさか、樹がそういう風に思っていたとは。
……どう返答すれば良いんだ。
樹のことは好きである。
息子なのだからそれは当然。紛れもない事実である。
でも情けない事だが、そんな息子に嫉妬してつい冷たくしてしまうのも事実。
その事も分かるように説明しなければ、樹は俺の「好き」をおかしいと思って、その言葉は嘘じゃないのかと疑いを持ち始めるだろう。
「……嫌いな訳ないよ。パパは樹のことが大好きだよ。」
「ほんとに?」
「本当。」
「じゃあ、パパは樹とママが仲良ししてると、いつも怖い顔してるよ。それはなんで?」
よく見てるな。
流石俺の子、とでも言えばいいのか5歳児の癖に鋭い観察眼だ。
「パパは樹が生まれる前、ずっとママと2人きりだったから樹にママをとられちゃって、ちょっとヤキモチ焼いてるんだ。樹が生まれてきてくれて物凄く嬉しかったよ。でも、樹と喧嘩するたびにどう喋っていいか分からなくなっちゃった。寂しい思いさせて、ごめんね。」
頭をするり、と撫でてやるとキョトンとした顔でこちらを見た。
ああ、起きている間はあんまり頭を撫でたこと無かったな、なんて今更後悔する。
樹はんーー、と子供ながらに何かを考えこんだ後、口を開いた。
「僕の方もごめんね。ママ、優しいからいっぱいわがまま言って独り占めしちゃってた。これからは僕とパパでママを半分こしようよ!」
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雨 - あっあっあっ…ァァァァァ!!黒尾ぉぉぉぉ(´;ω;`)無茶苦茶面白かったです!!! (2019年5月12日 21時) (レス) id: cd5b3b3e38 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 赤葦ぃぃぃさん» 赤葦ぃぃぃさんコメントありがとうございま!可愛いと言ってくださって嬉しいです……!励みになります! (2018年10月1日 21時) (レス) id: 91c2879456 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - みゆみゆさん» みゆみゆさんコメントありがとうございます。返信遅くなってしまい、申し訳ないです。ヤンデレ葦可愛いですよね!作者の大好物です。応援ありがとうございます! (2018年10月1日 21時) (レス) id: 91c2879456 (このIDを非表示/違反報告)
赤葦ぃぃぃ - やだあかーしかぁいい(悶え中)ぐぅう可愛い……!更新頑張ってください続き待ってます! (2018年9月30日 17時) (レス) id: a076412724 (このIDを非表示/違反報告)
みゆみゆ(プロフ) - えっ、どうしよう…可愛い…(ヤンデレ赤葦を可愛いと言ってしまう重症者) 番外編の続き、お待ちしてます! おもしろかったです(*´`*) 応援してますからね〜|壁|´`) (2018年8月9日 22時) (レス) id: 3935b1d5f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e
作成日時:2018年7月21日 20時