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歩き出してからと言うものの、私も赤葦くんも話し始めるタイミングに困っている様だった。
やっぱり、先輩として何か言うべきでは……というのもあるけれど、今日こそ私は、赤葦くんに気持ちを伝えるんだ。
次会ったら、ちゃんと言うとあかりと約束した。
……まさか、その日がこんなに早く来るとは夢にも思っていなかったが。
軽く息を吸い込み、声を発した。
「あの……」
「えっと……」
漫画みたいに言うタイミングが被る。
気まずい。こういう時はどうしたら良いのだろうか。
何とか、漫画のそのシーンを思い出そうと試みるも、赤葦くんが話し出す方がいくらか早かった。
「どうぞ。」
「いや、赤葦くんから……」
やっぱり、すぐに言う勇気は出なくて、赤葦くんにパスした。
気を遣っているのか、それ以上私にパスが回ってくる事はなくて、ぽつりぽつりと赤葦くんは話を始めた。
「音駒祭で、あんな言い方をしてしまってごめんなさい。俺、こう見えて……お二人の仲応援してます。」
今日あかりから叩き込まれたパターンFの冒頭と大体同じ内容であった。
次は失敗しないように。うまくいくように。
そう思い、今日はあかりと一緒にたくさんシミュレーションをしたのだった。
大丈夫。うまく行く。ちゃんと気持ちを伝えるんだ。
「こちらこそごめんなさい。あと私、徹と付き合ってないよ。」
「えっ。」
赤葦くんは口を大きく開けて、驚いている様だった。
パターンFを考える際に言っていたあかりの予想通り、赤葦くんはてっきり私と徹が付き合っていると信じ込んでしまっていたらしい。
一先ず、誤解が解けて良かったと思った。
「だって……キスしてたじゃ……」
「あーー!!あれは、色々あって。音駒祭の後、告白もされたけど断ったよ。私……好きな人いるし。」
第一段階完了。
あかり、私はどこかで君が見てくれていると信じている。
絶対、何も準備していなかったら、私は言葉につまって言いたいことの半分も言えなかったことだろう。
それに比べて、目の前の赤葦くんは私とは対照的に混乱している様だった。
「えっ……と、お二人は付き合っていなくて、他に好きな人が……!?それって、誰ですっ……」
「赤葦くん。」
早く、早くこれを言いたかった。
赤葦くんに伝えたくて、たまらなかった。
「私の、好きな人は赤葦くんです。」
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雨 - あっあっあっ…ァァァァァ!!黒尾ぉぉぉぉ(´;ω;`)無茶苦茶面白かったです!!! (2019年5月12日 21時) (レス) id: cd5b3b3e38 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 赤葦ぃぃぃさん» 赤葦ぃぃぃさんコメントありがとうございま!可愛いと言ってくださって嬉しいです……!励みになります! (2018年10月1日 21時) (レス) id: 91c2879456 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - みゆみゆさん» みゆみゆさんコメントありがとうございます。返信遅くなってしまい、申し訳ないです。ヤンデレ葦可愛いですよね!作者の大好物です。応援ありがとうございます! (2018年10月1日 21時) (レス) id: 91c2879456 (このIDを非表示/違反報告)
赤葦ぃぃぃ - やだあかーしかぁいい(悶え中)ぐぅう可愛い……!更新頑張ってください続き待ってます! (2018年9月30日 17時) (レス) id: a076412724 (このIDを非表示/違反報告)
みゆみゆ(プロフ) - えっ、どうしよう…可愛い…(ヤンデレ赤葦を可愛いと言ってしまう重症者) 番外編の続き、お待ちしてます! おもしろかったです(*´`*) 応援してますからね〜|壁|´`) (2018年8月9日 22時) (レス) id: 3935b1d5f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e
作成日時:2018年7月21日 20時