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「……Aさん?」
声の主は今、一番会いたかった人。
「赤葦くん!?何でここに……」
「城ケ崎にLINEで呼ばれて……って、もしかしてハメられた?あ。」
赤葦くんのLINEの通知音がピロンッ、と音を立てて、赤葦くんは「すいません。」と私に断りを入れてからLINEを開くと、呆れたような表情でため息をついた。
その様子を眺めながら、どれだけ頭では気まずくてもいざその人を前にすると喋れるんだな、とぼんやりそんなことを思って、人並みのコミュニケーションの能力がついている私を心の中で褒めた。
スマホ画面から目を逸らした赤葦くんと視線がかち合う。
「見ますか?」
「えっ、いいの?」
普通ならここで遠慮して、断るべきなのだという事は口に出してから気付いた。
一人で恥ずかしくなりながらも、LINEを見せてもらった。
相手は、城ケ崎さんで「Aさんと仲良くね。」という文字とべーーっと舌を出したかわいらしい女の子のスタンプが送られてきていた。
城ケ崎さんにとって私は嫉妬相手らしいのに、何でこんなことをしてくれるのだろう……。
今更、勘違いなんて事は無いだろうし。
疑問に感じながら、ふと赤葦くんの顔に目をやるとケラケラと笑っている赤葦くんの顔が目に入った。
「っふ、ごめんなさい。つい、面白くって」
「……どの辺が面白かった?」
「俺に対して食い気味な所ですかね。初めて会った場所と同じなのに今と前じゃ、大違いだ。」
恥ずかしさがぶり返して、頬が熱くなった。
この前のこと怒ってないかな、とか私をよく見てくれてるんだな、とか色々考えてしまって頭の中がずっと忙しくて、心と体もショート寸前である。
つい最近までは、そんなこと全く思っていなかったのに。
恋って、不思議だ。
他愛もない会話なのに、この世界のどこにいるより心地よく感じる。
「それって、どうなんだろう。……食い気味の女子は嫌い?」
「ふふっ、俺は好きですよ。話の続きは歩きながらしましょうか。もう暗いですし、家まで送りますね。」
ああ、駄目だ。めちゃくちゃ好き。
自分に言われたわけでもないのに、好きという二文字に反応してしまうし、家まで送ってくれる優しさにドキドキしてしまう。
赤葦くんとずっと一緒に居たら、寿命がどんどん短くなっていく気がする。
それ程までに、心臓の脈打つスピードが速い。死んでしまう。
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雨 - あっあっあっ…ァァァァァ!!黒尾ぉぉぉぉ(´;ω;`)無茶苦茶面白かったです!!! (2019年5月12日 21時) (レス) id: cd5b3b3e38 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 赤葦ぃぃぃさん» 赤葦ぃぃぃさんコメントありがとうございま!可愛いと言ってくださって嬉しいです……!励みになります! (2018年10月1日 21時) (レス) id: 91c2879456 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - みゆみゆさん» みゆみゆさんコメントありがとうございます。返信遅くなってしまい、申し訳ないです。ヤンデレ葦可愛いですよね!作者の大好物です。応援ありがとうございます! (2018年10月1日 21時) (レス) id: 91c2879456 (このIDを非表示/違反報告)
赤葦ぃぃぃ - やだあかーしかぁいい(悶え中)ぐぅう可愛い……!更新頑張ってください続き待ってます! (2018年9月30日 17時) (レス) id: a076412724 (このIDを非表示/違反報告)
みゆみゆ(プロフ) - えっ、どうしよう…可愛い…(ヤンデレ赤葦を可愛いと言ってしまう重症者) 番外編の続き、お待ちしてます! おもしろかったです(*´`*) 応援してますからね〜|壁|´`) (2018年8月9日 22時) (レス) id: 3935b1d5f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e
作成日時:2018年7月21日 20時