他人への興味1 ページ29
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俺は、角名倫太郎。高校二年生。
去年までは地元の別の高校に通っていたが、芸能活動が忙しくなってきたため今年から上京してこの星稜高校に来た。以前の高校にとくに深い思い入れはなかった。
学校では黒縁メガネにマスク、前髪は限界まで下ろしている。入学してから今まで、誰ともマトモに会話はしていないクソ陰キャをかましているから、今季視聴率1位の月9ドラマに出ている俳優の「倫太郎」だなんて誰も夢にも思わないだろう。
「この前のドラマ見たーー?」
「見た見た!倫太郎えろすぎない?キスシーンやばかったぁ。」
すぐ隣で女子たちが俺について話す。この格好の俺には興味ない癖に、「倫太郎」には興味深々なんだな。やっぱ、容姿ってすげー大事。高校のカーストなんて大体顔ランだ。
例外があっても、めちゃくちゃ面白いやつが稀にいるくらい。でも、それは普通レベルの顔の造りをしている人の話で、ブサイクはどう頑張ったって上には這い上がれない。自分は容姿に恵まれているし、今やっている仕事にはとても有利だからこの顔で生まれてきたことには後悔していない。演技に魅せられた俺は、俳優で有名になるためにならどんな武器だって使いたい。
でも、女に集られるのはもう懲り懲りだ。前の学校ではよくわからない女にストーカーされ、化粧でケバい女に色仕掛けをされた。来る日も来る日も勘違いブスに迫られて、女性恐怖症になるかと思った。仕事で疲れている日でもお構いなしにキャーキャーと叫ばれる。
でも、俺は芸能人だからイメージというものがあって、たとえどんな子が相手でもファンには笑顔で対応しなくちゃならない。
学校というものはなんて息苦しいんだろう。
だったら、辞めればいい。簡単な話だった。スキャンダルにでも巻き込まれて炎上しない限り、俳優業で食っていけるだけの給料は稼いでいた。
でも、中卒はださい。俺のプライドが許さなかった。
卒業まであと2年。誰にも「倫太郎」だとバレずに、卒業するために単位だけ取って、俳優業に専念しようと思った。
……そう、あの日までは。
「よろしくね、角名くん。」
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一(プロフ) - 氷翠さん» 夢主は生粋のいい子ちゃんにしてみました。 読んでくださりこうしてコメントくださることが一番嬉しいです。 更新頑張ります! (2019年12月27日 9時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 輝星さん» ありがとうございます。ときめいてもらえて嬉しいです。更新頑張ります……! (2019年12月27日 9時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
氷翠 - 夢主様良い人すぎて泣いた。大好きになりました!登録できないのが悔しい・・・更新頑張ってください!! (2019年12月25日 20時) (レス) id: 3f35ea9ba7 (このIDを非表示/違反報告)
輝星(プロフ) - とっても素敵でめちゃくちゃトキメキまくってました!すごく大好きです!語彙力なくて全然言えないのが悔しいです。更新頑張ってください!楽しみに応援してます! (2019年12月25日 2時) (レス) id: 5fda6ee181 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 神月さん» ありがとうございます。地の文が多くて読みにくいところもあると思いますが、そういってもらえて嬉しいです…!頑張ります。 (2019年12月17日 19時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e
作成日時:2018年5月4日 17時