２１ ページ21
・
突然横から聞こえた、好きな人の声に身体がピクリと跳ねる。しかし、治くんは侑がここに来ることを前から分かっていたような口ぶりで。
「えらい早かったやん、授業は？」
「抜けた。Aに通話かけても全然出んし、カフェの窓から二人が仲良く喋っとんのが見えるし。サムはいい加減、人の彼女連れ回すのやめてくれん？」
侑の言葉にはっとなって、スマホを開くと不在着信が約20件ほど。講義中や研究中にスマホが鳴ると面倒くさいので基本、マナーモードにしているのだが、こんなところで仇となるとは……。
「悪い悪い、ただAちゃんにありがとうを言うときたかってん。ツムの特殊性癖に付いてこれる女って中々おらんやろ？」
さっきまでさん付けだったのに、いきなりちゃん付けに変えたことに悪意を感じる。治くんが私に恋愛感情があるとは考えにくいが、何故こうも侑を揺さぶるような発言をするのだろうか。
案の定、侑は治くんの発言に眉を顰めた。
「ふーん、あんま信用してへんけどそういうことにしといたるわ。じゃあ、もうAへの用事は済んだから連れて行ってええってこと？」
「ご自由に。」
意外と簡単に解放された……と拍子抜けしていると。
その言葉と共にヒョイと肩に担がれる。急に浮いた足に驚いて、侑の上でじたばたするがビクともしない。
「ちょっ……！」
「Aは悪い子やから手繋いでるくらいじゃ逃げるもんな。しっかり捕まえとかんと。」
機嫌の悪そうな声に何も言えなくなる。今の侑には私が何を言っても聞かないような気がする。むしろ、これ以上怒らせて別れ話なんて切り出されたら怖い。
周囲の目が痛いほど刺さるが、もうどうにでもなれ。侑が満足いくまで、身を任せることにした。
このカフェにはもう一生、来ない。そう心に決めた。
別に、ミルクティーが美味しかったから名残惜しいとか思ってない。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 449人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水彩campus - めちゃくちゃ良い作品です！！！侑かっこよすぎ……(ニヤニヤ)更新頑張って下さい！！待ってます(*^^*) (2020年11月29日 3時) (
レス) id: d614036431 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - チャイさん» チャイさんありがとうございます。色気ムンムンの宮侑目指して今後も頑張ります……！ (2018年11月26日 22時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - 色気に溢れた作品ですね……最高です (2018年11月25日 14時) (レス) id: 26170b8b11 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - manaさん» manaさんありがとうございます！楽しんでいただけて何よりです！更新がんばりたいと思います……！！ (2018年11月17日 17時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
mana - とってもいい作品ですね！これからも応援してます！！！！！！！！！！ (2018年11月16日 20時) (レス) id: a616d0f8f5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：一 | 作者ホームページ：https://twitter.com/ninoma_e
作成日時：2018年11月10日 17時
