神と鬼VS大蛇 2 (ページ42)

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N「…どうして…」

O「…え?」

掠れた声で唐突に話し始めた。

N「どうして僕に優しくするんです?

貴方は鬼。僕は神。

お互い敵同士なのに。

今は謎の敵に対するために…とかの理由で

共に行動していますけれど、

初めて会った時点で、あなた方は

僕たちを殺すことができたはず…

なのに、僕たちを殺さず、

敵にも関わらず僕たちを助けてくれる。

しかも、僕たちにすごく優しいですし…

なぜ…なのですか?」

ほほに残った涙をふきながら

カズナリは問いかける。

抱き締めたまま、背中をトントンと叩きつつ

サトシは答えた。

O「俺もジュンも、お前たちを守りたいから。

ただ、それだけだ。

大切な者を守ろうとしているだけ。

俺たちが鬼でお前らが神で。

それぞれがもとは敵同士だったとしても、

最初はそんな気持ちじゃなかったとしても

今はお前らを守りたいんだよ。

大切な者に優しくするのは当たり前だろ。」

"大切な者"

その言葉がカズナリの幼き頃の記憶を思い起こす。

『大切な人に優しくするのは当たり前だろう?

君もそんな心優しい子になるんだよ。』

涙で濡れてよく顔が見えない。

笑顔だということは、それだけはわかる…

ーなんで、泣いてたんだっけ…

うつむいて考え始めたカズナリ。

しかし、それはサトシが立ち上がったことで

終了することになった。

サトシがカズナリに手をさしのべる。

O「立てるか。」

N「あぁ…はい。」

O「ゆっくり行こう。」

カズナリが手を借りて立ち上がる。

そして、ゆっくりと歩きだした。