神と鬼VS大蛇 2 (ページ36)

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65.月の下で燃える炎ページ36

まただ。

村が燃えている。

村のなかで生きているものは一人。

ショウだけである。

彼は上を見ていた。

三日月を、見ていた。

その三日月は心なしか紅く、

まるで燃えている炎のようだった。

先ほどまで雨が降っていたためか、

地面はしっとりと濡れている。

もちろん、彼自身も。

『月が美しいわね、ショウ。』

S「…そうだね。」

月を見続ける彼のほほや服には、

紅い紅い血が

真新しい血が、ついていた。

二匹の大蛇の姿は、今はない。

おそらく村の中にはいるのだろうが…

S「…"奇跡の歌声"を持つものは、

この村にはいなかった…」

『そうね。でも、もう少し南に行ったら

水の都と呼ばれる《エタナ》という町があるわ。

そこは唄歌いも多くいるから

もしかしたら、いるかもしれないわ。

我の探す"奇跡の歌声"が…』

ぐるぐると渦を巻きながら

怪しく光るネックレス。

そのネックレスを割れ物を扱うかのように

ゆっくりと持ち上げたショウは誓う。

　 . . .
S「母さん…俺が必ず見つけるね。

"奇跡の歌声"を持つものを…」

彼らの目的…

それは、"奇跡の歌声"というものを持つ

人間のようである…