神と鬼VS大蛇 2 (ページ33)

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なぜカズナリがうつむいたのか。

それは、彼が人を殺めたくないからである。

いや、たとえ人じゃなく鬼でも、

彼は殺さない。

殺したくないのだ。

それは、彼の頭の隅に残っている

幼い頃の淡い記憶の中で

誰かに約束させられたからである。

誰なのか…

それはわからない。

なぜなら、顔を思い出せないからである。

彼にとって、楽しく、大切な記憶。

しかし当時が幼すぎたせいか、

彼には当時の楽しき時代の記憶がない。

唯一はっきりと、顔以外は覚えている記憶は

男性が幼いカズナリの頭に手をのせ、

『いいか、お前は鬼のようになるな。

鬼のような人殺しにだけはならないでくれ。

約束、な。』

そして、指切りをするー

これが、彼にある当時の記憶のすべてである。

ゆえに彼は、

今まで一度も生物を殺めたことがない。

今では、その男性を"恩師"と

彼は、呼んでいる。

どこにいるのかわからない、男性のことを。