37.とある村 ページ3
ここはサトシたちのいる場所からみると南のほう
にある小さな村。
村人はお互いに助け合い、
とても平和に暮らしていました。
…ある日までは。
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・
・
炎が上がり、村人が逃げ惑う。
女「ナナ!ナナ!」
一人の女が娘と思われる名前を叫んでいる。
涙を流し、炎にもめげず探し続けている。
その女の前に黒い影が降り立った。
そして、その黒い影が何かを振り下ろす。
飛び散る赤い血。
女が倒れる。
黒い影の手には、死神のような大きな鎌。
赤い血がポタポタと先端から落ちている。
黒い影が振り返る。
そこには、目を大きく開いた女の子。
小さなうさぎの人形を胸に抱き抱えている。
…この子がナナという子なのだろうか。
女の子が逃げるように黒い影とは反対方向に駆け出す。
しかし、すぐにその前に黒い影が降り立った。
その手には、鎌ではなく短剣が握られている。
黒い影は女の子を捕まえ、首もとに短剣をあてる。
大声で泣き叫ぶ女の子。
が、数秒後には、その声は聞こえなくなってい
た。
黒い影の足元に転がる女の子。
動脈を正確に切られており、
血が流れ続けている。
?「…これで…全員…」
『そう。これで全員。』
黒い影…声からして男が下げている黒い石のつ
いたネックレス。
その石から女の声が聞こえてきた。
気のせいか、その黒い石の中はぐるぐると渦巻いている。
『さぁ、この村から出なさい。』
『私が道案内をしてあげよう。』
?「道…案内…?」
『そう。さぁ、歩いていきなさい。』
?「…」
声に急かされるように歩き出す男。
その目には光がなく、
深い、闇が支配していた。
そのとき、声がぼそりと呟いた。
『我が息子…かわいいショウ…』
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作者名：成魔さん♪ | 作成日時：2014年7月5日 0時
