Fate-Grand order- 短編集

清姫の恋煩い ページ19

「ますたぁ」


私は気付いてしまった。


いや、気付いていた




『なぁに清姫』


これが、叶わぬ恋だと。


───知っている(しっていた───)




「ますたぁと朝寝がしてみたいです♡」



『朝寝…んっ！？朝寝!?』


「はい♡」



『えっ、と…私が、遊女…って事かな?』


三千世界の鴉を殺して




「はい♡そうなった場合、私がずっとずぅーっと、指名致しますので!」


主と朝寝がしてみたい。

【清姫の恋煩い】



『ダメだよ清姫、そんな事言っちゃ。めっ』


えぇ、えぇ。分かっています。
はしたない事をしているのは、私もちゃんと理解しています。


えぇ、えぇ。知っていますよ。
ますたぁが私を声を大にして怒鳴れない事も、ちゃあんと。


「〜っ！ますたぁ！もう一度“めっ”て叱って下さいませ！」


『謎のリクエストだね?めっ、だよ』



「はうぅ…ありがたき幸せです♡」




『もう。あと引っ付きすぎ。編成出来ないよ』



離さない、離したくない。
ますたぁの目に映るのは景色と私だけで良い。私だけが良いのです。



宿で会った時にはしたなく夜這いをしかけ迫り、またねまた逢おうねと約束もして。
ちゃんと私と逢ってくれて。

でも、恥ずかしがり屋の貴方は私と逢った時「別人」だと言った。


それでも




それでも凄く


凄く凄く嬉しくて。




あぁ幸せとはこういう事なのか。
夢幻では無いのだろうか。いいやきっとこれが本当の────。



「ますたぁ、私、ますたぁの事…!」




『───清姫』



その声が、その声で私の名前を呼んで。嬉しくて、はしたなくも手を重ねて絡め合って口吸いをして。
大胆に舌を絡めて、ぐちゅぐちゅ音を立てて




『清姫、私…安珍様じゃないよ』





口吸いを…して。


「…なにを、いっておられるのですか」




『清姫…ごめんね』




私の、私のこの恋心も。何もかもが。
全て、全て全て否定される様な。



「だって、そんな嘘、嘘ですよ。私、言いましたよね?嘘は嫌いだとあぁそれとも恥ずかしいのですね分かりますとも旦那様の言いたい事なぞ分かるのも妻のお役目ですもの分かります。恥ずかしがり屋の旦那様の為です、妻である私があれよこれよと『りいど』させて頂きま」





『安珍様じゃ、ないって』




……いいえ。いいえ違います。
ますたぁは紛れもなく私の、私だけの安珍様にございます。


違う、違う




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清姫の恋煩い2 ※閲覧注意→←海＝ラッキーす…？ ー作成中ー

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