二十四頁目 ページ26
___
「ウェイ…」
『ちょっとビリってきたかな。上手く行ってよかったよ。』
騒然とする会場の中、Aは薄く微笑んでいた。
「上鳴くん行動不能！！詞詩さん 二回戦進出！」
「あれ、本当に普通科か？」
「とんでもない隠れ蓑を見つけちゃったかもなぁ…」
「どんな個性だ？」
プロヒーローたちにたちが口々に言う。また、それは生徒たちも同じようで…
「すっごー！あの子何者？」
「上鳴の個性が完封されたな」
「……ん？」
「上鳴くんの“個性”も強力なハズだけど………詞詩さんって前に心操君と一緒にA組に敵情視察に来た人だよね…あの人の個性はなんだろう？騎馬戦は心操チームにいた筈だけど…駄目だ何処に居たか全く見えてなかった この試合を見るに“個性”を無効化する“個性”かな…相澤先生みたいに“視ること”で発動？何か変わったことをした様子はなかったから……」
一回戦一位通過の彼も例外ではないようだ。ブツブツ言いながらすごい勢いでノートに書き込んでいる。隣にいる麗日は少し引いていた。
試合後、Aが自分の席に戻るとクラスメイトから声をかけられる。
「あ！詞詩！オツー」
「お前と言い…心操といい…すげぇよ！」
『おや…見ていてくれたのかい？嬉しいよ』
私は殆ど彼らと話したことはない。しかし、観客席に戻るとみんな話しかけに来てくれた。
「そりゃおんなじクラスの奴が最終種目まで残ってんだから応援するだろ！」
「ウチら普通科の力見せてやってよ！」
『うん、期待に応えられるよう今できる最善を尽くして頑張るよ』
「お前といい…心操といい……お前ら普通科の星だな！」
『ふふ、ありがとうね…おや心操君照れてるのかい？』
「照れてない」
『ふふ、そうかい…』
…此れは照れてるのだろう。Aは普通科は皆いい人で安心した。
「そいえばさー詞詩の個性ってなんなの？」
『うーん…なんだと思う？当ててご覧よ』
「えー！ケチ！」
皆と談笑しながら他の試合を見る。
恐らく次に当たるであろう飯田君の個性は足が速い….といったものだろう。騎馬戦のときも活躍してた筈だ。
…いやいや、メロスさんのほうが速いけどね？
最初から気張っておかなくては。開始早々場外に押し出される…なんてこともありそうだ。
相手は皆ヒーロー科だ。普通科の私達は出遅れている。
私の個性の関係もあるが、長期戦は不利だ。
なるべく早く決着をつけよう。
時々話に相槌を打ちながら考えた。
___
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
靭負府(プロフ) - レネットさん» コメントありがとうございます！海外文学についてのコメントありがたいです。ロシア文学は罪と罰をかなり前に読んだきりですね…シェイクスピアはなんとなく話の流れが判るぐらいです。夢十夜、読んだことあります。幻想文学って良いですよね。 (2021年12月1日 21時) (
レス) id: cddfc241f6 (このIDを非表示/違反報告)
靭負府(プロフ) - 魔水さん» コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2021年12月1日 20時) (レス) id: cddfc241f6 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 海外文学で言うならロシア文学はオススメです。ドストエフスキーの死の家の記憶とか。日本でいうとやはり夏目漱石辺りはいいですよね、夢十夜は読んだことありますか？第一夜はとてもロマンチックでしたが、豚が転げ落ちる話もあります。 (2021年11月29日 0時) (レス) @page4 id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - あぁ！好きです！大好きです！いいですよね！私はやはりシェイクスピアが好きです！マクベス、オセロ、リア王、ハムレットとか(これらは舞台ですけど)！日本でいうと堕落論とかも面白くていいと思います！あと川端康成の「雪国」！これからも頑張ってください！ (2021年11月29日 0時) (レス) @page3 id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
魔水(プロフ) - 素敵です！！！✨私文豪大好きなので尚更.:*☆頑張ってください！応援しています！！続き楽しみにしてます^ ^ (2021年11月16日 18時) (レス) id: fe496f3f72 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：靭負府 | 作成日時：2021年10月17日 15時
