貴方が私を｢お姉ちゃん｣と呼んでくれるまで

※鬼に出会う。 ページ6

その日。

カナエ様が任務に出られた時、とても胸騒ぎがして。

いつもつけていた髪飾りを忘れられていたから。

それを理由に、追ってみることにした。

日輪刀を、持って。

幸い、任務の場所はわかっている。

───無断で来たから、しのぶ様に怒られるだろうな。

────────


やっと、カナエ様を見つけた。

鬼と相対しているよう。

よく、見えない。

上弦の、弐？

カナエ様は柱だけど、そんな常軌を逸した化け物を倒せるのだろうか。

そう思っていたとき、鬼が｢そこに誰かいるんだろ？俺はいきなり食べたりしないから、出ておいでよ。｣と言った。

多分カナエ様も気付いていたのだろう、鬼がそう言った時に驚いている様子は無かった。

ただ、私が仕方なく物陰から出た時には驚いていたけど。

私だと思ってなかったんだろう。多分。

どうやら先ほどの発言通りすぐに襲って食べたりしないらしい。

それは助かる。

そう思って、日輪刀を腕に突き刺した。

血迷ったわけではない。

｢カヲリっ！なにして……！｣

(……？なにしてんだろ、あの子。上弦相手に血迷ったかな？)

周囲には、そう見えるだろうが。

いつもなら切るくらいで構わないのだが、上弦相手には突き刺すくらいしなければ。

カナエ様が死ぬよりは、いいだろう。

先手必勝ということで、血の刀を思いっきり飛ばす。

多分効果は無い。

一瞬でこちらに来ることも可能だろう。

今は油断しているだけ。

この隙に、追い払わなければ。

────────

あ。

右手の指、無くなった。

ちょうどいい。

血がふき出る。

ちょうどいい。

膜のようにして、鬼を包む。

もう少しで夜が明ける。

それまでもたせないと。

あ、もう駄目かもしれない。

膜が破裂した。

(ヤバい……。もう少しで夜明け…。油断してた、かな…………。帰らないと……。)

鬼─童磨とのこと─は、逃げた。

ああ…………よかっ、た。

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