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て「絶対そうだって。変わんなくていいとか訳分からんこと言われて、自分がどうすればいいか分かんなくなって、」
し「それでりょうの家で自分探し？範囲狭すぎない？」
て「馬鹿言え！Aの行動範囲が数mでも広がるのは相当だぞ！」
し「それもそうか」
それで納得すんの？若干不服ながら、私もてっちゃんの説の大枠には同意した。
『まあ、確かにとしみつくんが何をして欲しいのか迷いに迷って迷走した感はある』
し「で、変えようと思って引っ越ししてみたはいいものの、」
て「変わったのは食生活のみ」
し「それで結局、距離を置く作戦に出た……と」
『2人で私専属のメンケアカウンセラーでもする？』
て「やだよ、そんな生産性無さそうな仕事」
冗談は置いておいて。問題は。
『としみつくんは何を望んでるのか……』
て「まあ、そこですわなぁ」
し「俺の見た感じ、距離置かれてるのはだいぶ心に来てるっぽかった」
『じゃあ戻す？別に出来なくはないけど……ただ、普通に気になるんよね。私に不満持ってるって分かってる人と仲良いフリするの』
て「いやそれ、出来ないって言っとるのと同じやん」
まあ、それはそう。多分今、前の距離感に戻したら、会話中でも、何処が不満なのか永遠と探ってしまう気がする。
て「もう、としみつがAをどうしたいか分かるまで、距離置くしか無いんじゃない」
し「もしかしたらとしみつ自身も分かってないのかもしれないしね」
て「うわ、それありそー！だってそもそも、謝って欲しくないとか頼りにして欲しいとかなに？ドラマやん」
『揶揄わんの』
てっちゃんを諌めつつ、私は溜息とともに彼の肩にもたれかかった。
『ダメだ。気遣うの向いてない。聞きたい。頼りにされたいの！？そのままでいいって何！？って』
し「聞いていい気もするけど」
『でもりょうくんが言ってたよ。としみつくんはズケズケ聞かれるの嫌がるって』
不意にデコピンが飛んできて驚く。犯人はじっと私の目を見ていた。
『痛いんだけど』
て「りょうくんりょうくんって……今、としみつとAの話じゃないの」
『……うーん』
て「別にりょうはとしみつの全部知り尽くしとらんよ？」
『……ごめん』
し「うわ、謝った」
腹立たしい言葉と共に目を丸くしたしばゆーに今度は私がデコピンを食らわし、目を瞑る。
あーあ、ホントにもう。なんなんだ、もう。
呼吸の早いてっちゃんの肩は、寝にくくて堪らなかった。
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作者名：蚕虫 | 作成日時：2023年10月23日 10時
