Idol 2 (ページ30)

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第一回！一番デカイ岩見つけて来た奴が勝ち！選手権！！！【大岩亭有り】ページ30

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ゆ「あれ、A。電話だよ」

りょうくんの見つけた岩に向かっている最中。滅多に音を立てない私のスマホが、たしかに震えていた。

『誰だろ』

軽い気持ちだった。本当に軽い気持ちで液晶を見つめ、そして発信者をさとるや否や、反射的に拒否のボタンを押す。

ゆ「えっ」

り「なに？どうしたの？」

ゆ「いや……？」

心配そうなゆめまるくんの隣で、私は再び恐る恐る携帯を持ち上げる。電話帳の履歴を開くと、たしかにそこには。

『マジかぁ…………』

小関さんの名が光っていた。アイドルをしていた頃の、私の担当マネージャーだ。

要件を察してしまい、私は携帯をゆめまるくんに放った。

ゆ「なに？」

『あげる』

ゆ「要らんけど？」

また携帯が震え、ゆめまるくんがビクリと肩を震わせた。

ゆ「なんかしたの？」

『したっちゃした……』

仕方なく携帯を貰い受け、通話ボタンを押した。

小「あっ！A！！」

『うるさい！』

スピーカーにした訳でも無いのに響いてきた声に、大声で怒鳴って切る。としみつくんが不安そうにこっちを見ていた。

と「大丈夫？」

『大丈夫！電源切るから』

そう。遮断すればいいんだ。長押ししてブラックアウトした画面を前に、深呼吸をする。大丈夫。そう、大丈……

て「あ、もしもーし。マネティ？」

『ちょ、っと！』

振り向いた時にはもう、てっちゃんが通話を開始していた。

小「あ、てつやくん？A居る？」

て「居ますよ。替わる？」

小「替わって」

最悪だ。私が出ないからって、てっちゃんに連絡取るなんて。

て「はい」

渋々受け取ると、スピーカーで拡大された大声が車内を満たした。

小「コラ！なんで拒否るの！」

『嫌なの！怒られるのわかってるから！』

小「怒んないわ！」

『怒んないの！？』

拍子抜けして脱力する。なんだ、怒られないならいいか。

『なに。どうしたんですか？』

私の後ろで、コソコソとゆめまるくんがてっちゃんに事情を聞いている。「昔のマネージャー」の言葉に、全員が「なるほどね」と頷いた。

小「見たよ。YouTube」

『ありがと。で、怒らないなら用事は何？』

歌もダンスももういいと思った。お兄ちゃんの事情を明かしていなかった私は、ただその理由一辺倒で事務所を出た。

そんな私が、結局あずちゃんとの動画で歌って踊ったのだ。最後まで私を引き止めていた小関さんが怒っても仕方ないと思う。

でも、彼女の意図は他にあるらしかった。