Blume 4 (ページ23)

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『そして、小栁津家の皆さん。皆さんは、私が知る中で最も温かい家族です。突然押しかけた時でも、いつも美味しいご飯を食べさせてくれる。そんな優しい小柳津家の皆さんと、家族になれるのが堪らなく嬉しいです。これまで以上に、大切にします』

ここまで一息で言ってから、Aはパッと俺らの方を向いた。

『そして、今回の式は私の大好きなメンバーが計画してくれました。本当にありがとう』

大きな拍手に合わせて、全員で立ち上がりお辞儀をする。

『虫さん。式までの半年間、ダイエットに協力してくれてありがとう』

『ゆめまる。全く興味もないだろうに、私の昔の作品をかき集めて飾ってくれてありがとう』

『としみつ。微妙な立場なのに、全力で私を祝ってくれてありがとう』

『りょう。今日のために、たくさんたくさん走り回ってくれてありがとう』

『そして、柴田。もう少しで泣けそうなスピーチありがとう。これからも皆で、バカやろうね』

一人一人の言葉を紡ぐAは、正真正銘、俺らの女王様だった。

また、としゆめが涙を流す。

なんだかんだ言って、俺や虫しばも洟を啜っていた。

『最後に、てつや』

会場が涙に濡れるそんな中で、一人笑顔の男がゆっくりとAに近づく。

『2人で幸せになろうね』

て「うん」

『大好きだよ』

てつやは笑顔を浮かべたまま、Aを抱き上げた。

そしてぎゅうと大切なものを慈しむ仕草で、Aを抱き締める。

て「俺も大好き」

啜り泣く声が響く会場に、泡のような大好きがフワリと飛んだ。

パチパチ、まばらな拍手が数回。そして、それは次第に大きな渦となる。

「以上をもちまして、東海オンエアてつやさん、Aさんの結婚披露宴を締めさせて頂きます。ありがとうございました」

司会者の声は皆聞こえているはずなのに、誰も腰を上げなかった。

それはきっと、皆、いつまでもこの2人を見ていたかったから。

回り道した挙句、獣道を突き進んで幸せを掴んだ2人。

きっとこれからも、てつかむらしい、そんな思い出を更新し続けるんだろう。

『ねぇ！東海で写真撮ろうよ！』

と「は？今？！」

『うん！今！』

慌てて駆け寄った俺らを満足気に眺めて、女王様はニンマリと笑う。

『私、東海オンエアでよかった！』

豪速球ストレート。全員が受けきれなくて、胸に食らう。

り「バカ。そんなの皆知ってるよ」

涙まみれの俺らに向かって、Aはキラキラの笑顔を見せた。