Blume 4 (ページ20)

今日:36 hit、昨日:15 hit、合計:32,928 hit

・ページ20

・

「新郎、てつやさん。ご感想の方は」

て「いや、なんかめちゃくちゃ凝ってて感動しました。あと、イラスト直樹だよね？ありがとうって言っといてください」

「では新婦。ご感想は」

『めちゃくちゃ私たちは恥ずかしかったんですけど、楽しんでもらえてそうでよかったです(笑) 』

照れくさそうな瀕死の2人をカメラに収めて満足した。

これはいい思い出になっただろう。

スクリーン下で待機していた披露宴組も、成功にガッツポーズを見せている。

近年稀にない素晴らしい余興になったんじゃないだろうか。

「それでは、友人代表スピーチに移らせていただきます。今回は新郎と新婦の交友関係があまりに被りすぎていたために、おひとりにスピーチをお願い致します」

司会者の冷静なボケに、皆が笑った。

確かに言い得て妙だ。正直、この会場に居るのはほとんどがメンバー全員の知り合い。わざわざそれぞれの友達に話させる理由もないだろう。

「それでは栄えあるおひとりに選ばれたスピーカーを紹介します。数いる友人の中でも、最も新郎新婦に近い男と言える、柴田裕輔さんです」

『しばたー！』

Aの声援に手を挙げて応えたあと、しばゆーはガチガチのままマイクに手を乗せた。

し「っえー、この度は、ご結婚誠におめでとうございます。ご両家の皆様にも心よりお慶び申し上げます」

想像以上にしっかりとした喋りに、てつやとAは「あれ？」と顔を見合せた。

どうやら、ここから先もおふざけが来るものと予想していたらしい。

残念だけど、ここからはガチだ。

本気で、真剣に、3人がしっかりとした友人代表スピーチを企画していた。

言い出しっぺはとしみつだっただろうか。

ふざけるのもアリだけど、逆にここだけめちゃくちゃ泣かせるのもアリじゃね？という提案に、俺らは皆で乗っかった。

そして、その大役を主砲に任せたのだ。

しばゆーがここまで緊張しているのは、俺らのバカでかい期待を背負い込まされているせいでもあった。

し「えー、っと、てつや。おめでとう。俺らが初めて出会ったのは、高2の時。ちょうどその制服だったよな。コイツ、おもしれーなと思ったのを覚えています」

しばゆーの視線が、Aへ移る。

し「そしてA。Aもおめでとう。Aとの出会いは、高1の春。川村と柴田で席が近いのに、全然喋れんかったよね」

ああ、そうだった、とAが微笑んだ。