Blume 4 (ページ15)

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ヒ「ホントおめでたいねぇ」

り「遠い所まですみません、わざわざ」

ヒ「てつやとAのためなら外国でも行けるって！」

笑顔のままに、HIKAKINさんは花を取りだした。

綺麗な包装紙に包まれた、美しいライラックだ。

ヒ「ガラでもないんだけど、｢美しい契約｣に幸あれってことでね」

虫「わざわざ花言葉まで調べてくださったんですか？ありがとうございます、ホント」

ヒ「いえいえ。……あと、これ、少ないんだけど皆で分けて」

神が差し出した紙袋の中には、美味しそうな天むすが大量に詰まっていた。

優しい笑顔を見て、やはりこの人は生きるレジェンドだと確信する。

ヒ「東海オンエアで主催してるんでしょ？メンバー皆、忙しいと思うけど、楽しんで！よかったら軽食にでもしてください」

り「ありがとうございます！！」

虫「HIKAKINさんも楽しんでいってください」

ニコニコ笑顔のその背中は、余りに大きすぎた。

こうして、次々続々と花々が集まっていく。

意外にも、ほとんど被ることはなかった。

皆が皆、Aのイメージを描いて花を選んでくれたはずだから、きっとこの多種多様な花々は、Aが皆の心にそれぞれの花として咲いていることを示してるんだろう。

受付も落ち着いてきたところで、一旦虫さんと引き上げた。

虫「よかったね。御祝儀、花にして」

り「ブーケになった時、すごい楽しみだし」

そう、今回貰った花は、披露宴の時のブーケにする。

今頃、花屋をやっているAの従姉妹が100本の花々を前に奮闘中のはずだ。

招待状を作っている時に彼女の存在を思い出して、そしてこの企画を思いついてよかった。御祝儀を貰わずとも式を挙げられるなら、その分もっと楽しいことをすればいい。

り「そろそろ、式場移動のアナウンス入れてもらいますか」

虫「だね」

トランシーバーで司会者に指示を飛ばすと、ザワザワと会場が騒がしくなってきた。

きっと皆が庭に移動しているんだろう。

と、そこへゆめまるから電話が入る。

ゆ「もしもし？」

り「ハイハイ。いけてる？」

ゆ「こっちは完璧。あとは新郎新婦だけ」

り「りょーかい。連れてきます」

虫「じゃあ先に戻っとくね」

り「はーい」

電話を切って、虫さんと別れて。

そして俺はゆっくりと新婦の控え部屋に歩みを進めた。

コツコツ。

ノックの音が響いたあと、「どうぞ」と恥ずかしげな返事が帰ってくる。

少し緊張しながら、冷たいドアノブに手をかけた。