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あ「本日は誠におめでとうございます」
り「やめてやめて！そんな固いのじゃないから！」
頭を上げてもらって、すぐゲストカードを受け取る。パオチャンらしい几帳面な字が並んでいた。
ぶ「そうや。御祝儀、絶対要らんって言われたからホンマに持ってきてへんけど、いいの？」
り「代わりに花1本持ってきてくれた？」
あ「うん。これでいい？」
2人が差し出してくれたのは、2本の向日葵だった。
あ「Aちゃんってやっぱり、向日葵のイメージ強くて」
ぶ「メンバーカラーとはちゃうんやけど、大丈夫？」
虫「大丈夫！ありがとう」
2人は「よかった」と笑ってから、カメラに手を振って中へと消えていった。
り「って、次は水溜り？！YouTuber続くなあ」
後ろに並んでいたのは、見慣れたスーツ姿のコンビだった。コチラもカメラ対策に抜かりなく、エアシールドを付けている。
ト「いや、ダメなん？(笑) 」
虫「最高ってこと。カメラ目線お願いしまーす」
カ「こんちは〜」
ふわふわのカンタが差し出してくれたのは、真っ白の鈴蘭だった。
カ「なんか｢純粋｣って花言葉がね、Aっぽいなって」
り「カンタは何気にAの恋心知ってた数少ない勢だからね」
虫「えっ、そうなの？」
カ「タクシーで泣きながら恋愛相談されたからね、俺」
ト「仲良いなぁ(笑) 」
そう言うトミーが取り出したのは、ハイビスカスの切り花だった。
ト「これはね、｢常に新しく美しい｣って花言葉ですね」
ハイドウゾ、と渡された花を俺が受け取って、虫さんが2人にカメラを向ける。
虫「2人に一言！」
カ「ぅえ？！えっと！おめでとう！お幸せにね！」
ト「ちょっと疎遠気味の後輩宛か！」
ツッコミをしながら去っていくその後ろ姿は、当たり前だけれど余りにもYouTuberだった。
さて、次は誰かと見てみると、背の高い男と黒マスクを付けた男が、居心地悪そうに佇んでいる。
り「あっ、東海オンエアのりょうです」
虫「虫眼鏡です」
キ「初めまして、キヨです」
レ「レトルトです」
俺らの知らないAの友人2人は、慌ててゲストカードを引っ張り出してくれた。
虫「カメラ大丈夫ですか？」
キ「マスクのままですみません」
り「いや、大丈夫ですよ。前2組がカメラ慣れしすぎなだけだから(笑) 」
お噂はかねがね、と笑うと、2人も苦笑いを浮かべる。
レ「嫌な噂じゃなきゃいいんですけど」
気まずいままに、彼らはおずおずと花を取り出した。
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作者名：蚕虫 | 作成日時：2022年7月10日 4時
