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て「かむはコレかな」
『えっ、私も着るの？！』
て「そりゃそうでしょ」
そう言っててつやは、私を一度床に下ろした。
カメラが無いからか、さっきより随分大人しい。
て「こっち向いて？」
言われるがままに彼に身体を向けると、服をあてがわれた。
てつやと同系色のミニワンピ。この年齢だとキツイものがある。
『またミニだ。何歳だと思ってんの？』
て「まだ大丈夫でしょ」
『まだってことはもうすぐダメになるんだ』
て「……2年後はヤバいか」
『そういうことは直接言わないでくれる？』
て「かむが聞いたんやん！」
『聞いてないし。独り言だったし』
口ではああだこうだ言いつつ、てつやは店員さんにワンピと近くにあった可愛らしいバレエシューズを手渡した。
て「カードで」
『えっ、経費？』
て「動画だから」
『前はプライベートウォレットで買ってくれたのに』
て「ホントくだらんことは覚えてんね(笑) 」
そういえば、てつやと服屋に来るのはあの胸元の開いた服を買いに行った時以来かもしれない。
何気に2人で出かけるなんて、私たちのペアは一番有り得ないのだ。
て「ホイ、完了。亀ちゃんとこ戻ろ」
自分の分の袋をそれぞれ受け取って、私たちは店を出る。
『次は？』
て「明日、楽しんごさんとこ。それで明明後日にもるさんとこ」
『じゃあ私はここまでだ』
カメラに向かって手を振ろうとしたその時、てつやが「いや、待て」と呟いた。
て「俺は知っている」
『なにを(笑) 』
て「明日から3日間、かむが暇してるということを……だ」
『ねーぇ！私のプライベートは？！』
途端にてつやの目が光った。
て「連行！」
『ちょっと待って！酷いと思いませんか？！』
泣きついたものの、亀ちゃんは苦笑いするだけ。
て「なんなら、1週間先まで君は東京です」
『いや、無理だよ。岡崎で雑誌撮影とか、』
「それは虫さんが代わりにやってくださる事になりました」
……ん？
『おまえら、グルかああああ！！』
て「うわ！かむが怒った！」
『そういうことは先に言って！帰る気満々だったのに！』
て「だって1人は不安やん」
『知らん！先に言え！私は泊まらんからね！』
て「ちゃんとヒルトンのいい部屋押さえてるのに？」
うっ。
『……なら、まぁ。1週間くらいなら』
て「チョロ(笑) 」
しょうがない。ヒルトンに罪は無いもんね。
すごすごと横を歩く私を見て、てつやはニヤニヤと笑った。
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作者名：蚕虫 | 作成日時：2022年6月17日 1時
