第十五話 ページ16
「前歴無しで特級かぁ。凄いね」
「でもAさんは準一級だって、パンダ君たちが」
「いや……特級ほどじゃないよ」
私がずっと求めていた、その“印”が刻まれているのを見て、少しだけ複雑な気持ちになる。
__なんて、馬鹿な話だ。
特級どころか一級にもなれていないのは、私の力不足のせいだというのに。
「着いた……Aさん?」
「あぁ、ごめん。考え事してた」
顔を覗き込む憂太君に笑いかけると、パチンと頬を叩いてから車を降りた。
朝蜘家次期当主が、気弱になってどうする。
ぐっと気合いを入れ、
工事用のフェンスで囲われている点を除けば、ごく普通の五階建てビルだ。
「さ、入ろうか」
そして、私たちはビルの内部へ足を踏み入れた。
〔乙骨side〕
中は思った以上に、綺麗なままだった。
取り壊し中だったこともあり、瓦礫は散らばっていたが、余計なものはなく見通しがいい。
Aさんは、コンクリートの壁に手を付いて言った。
「【
その途端、彼女の腕から何百もの
小さな点のようなそれは、各々が意思を持っているのか、あっという間に四方八方に散り散りになって消えていった。
「Aさん、今のって」
「探索用に呪力を分散させた“蜘蛛”だよ」
曰く、この前見せてもらった大蜘蛛の分身とのことで、本体である背中の大蜘蛛とも感覚を共有しているらしい。
凄いなぁ、と感心しているうちに彼女は奥へ進んでいく。
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作者名:゛ | 作成日時:2021年3月31日 11時