検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:22,369 hit

第十五話 ページ16

 
「前歴無しで特級かぁ。凄いね」

「でもAさんは準一級だって、パンダ君たちが」

「いや……特級ほどじゃないよ」


私がずっと求めていた、その“印”が刻まれているのを見て、少しだけ複雑な気持ちになる。

__なんて、馬鹿な話だ。

特級どころか一級にもなれていないのは、私の力不足のせいだというのに。


「着いた……Aさん?」

「あぁ、ごめん。考え事してた」


顔を覗き込む憂太君に笑いかけると、パチンと頬を叩いてから車を降りた。

朝蜘家次期当主が、気弱になってどうする。
ぐっと気合いを入れ、(そび)え立つビルを見上げた。

工事用のフェンスで囲われている点を除けば、ごく普通の五階建てビルだ。


「さ、入ろうか」


そして、私たちはビルの内部へ足を踏み入れた。



〔乙骨side〕


中は思った以上に、綺麗なままだった。

取り壊し中だったこともあり、瓦礫は散らばっていたが、余計なものはなく見通しがいい。

Aさんは、コンクリートの壁に手を付いて言った。


「【(サン)】」


その途端、彼女の腕から何百もの蜘蛛(くも)が這い出した。

小さな点のようなそれは、各々が意思を持っているのか、あっという間に四方八方に散り散りになって消えていった。


「Aさん、今のって」
「探索用に呪力を分散させた“蜘蛛”だよ」


曰く、この前見せてもらった大蜘蛛の分身とのことで、本体である背中の大蜘蛛とも感覚を共有しているらしい。

凄いなぁ、と感心しているうちに彼女は奥へ進んでいく。
 
 

第十六話→←第十四話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
115人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 乙骨憂太
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2021年3月31日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。