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第十三話 ページ14

 
〔乙骨side〕


「うぅん……」


僕が見つけるよ、と威勢よく言ったは良いものの、あれから数日。

昼休みや空き時間を使って呪いについて調べてみたが、有力な手掛かりはさっぱり見当たらない。

五条先生にも訊いてみたけれど、

「流石に何百年ものの呪いとなれば、解くのは難しいね。それに、勝手に解いて家の人に怒られても知らないよ」

とのこと。


「憂太君、この本も駄目だったよ」


Aさんが“呪い大全”という分厚い本を抱えて、顔を出した。
中々見つからないね、と叱られた仔犬のように眉を下げると、僕の目の前の椅子に腰掛ける。


「難しいなあ、探し物ってのは」

「そうだね……」


ゆっくりとページを捲りながら、彼女は考え込むように口元に手をやった。
白い指先で唇をなぞり、ふにふにと摘んでいる。

癖……なのかな?
だとしたら、なんだか子どもっぽくて可愛いな……


「何してんだ?」

「わっ真希さん!」


当然背後から現れた真希さんに、僕は椅子から転げ落ちそうになる。
Aさんは嬉しそうに真希さんに手を振った。


「呪いを解くカギを探してるんだよ」

「ふぅん……最近よく一緒にいると思ったら、そういうことか」

「それもあるけど……二人でいると、互いの呪い同士が警戒しあって出てこないからさ」


Aさんは一瞬目線を泳がせ、それからにっと口角をあげて笑った。


「憂太君の隣は、居心地が良いんだ」
 
 

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作者名: | 作成日時:2021年3月31日 11時

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