【題名変更】戦闘特化なのにあんまり戦ってない気が…… (ページ36)

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３５　Another side ページ36

？？？視点

A様は、恐らく本人が思っている以上に慕われている。
ゴブリン達に持ち得なかった知識を存分に分け与え、またA様の本分でもある戦闘に関しても、初心者のゴブリン達にしっかりと教えてくださる。

分からないところはとことん付き合い、出来たら一緒に喜んでくれる。

どこか暖かくも、決して手が届く存在ではなかった。

「嬉しいこと言ってくれるじゃないですかー！もー！大好きです！！！」

「へあっ？！」

「A様？！」

………なかった、のだが……………

それは、いつのもA様の講座で起こった。話しかけたのは特にA様を慕っていて、あわよくばを狙っていたゴブリンだった。

今日はそのゴブリンとA様で話す機会が幸運なことに訪れ、これ幸いと自分の溢れんばかりの思いをゴブリンが必死に身振り手振りを加えながらA様に伝えた後だった。

ぱああっ！と整った顔を光輝かせたA様が、そのゴブリンに抱きついたのだ。
身長差故、A様がゴブリンの胸に飛び込んだかのようにも見えた。

辺りが静まり返ったのは、言うまでもない。

「あっ、ごめんなさい、つい駆け寄っちゃいました」

「い、いえ、………」

おい、何そこで顔を赤らめてんだよ。

様子を見ていたゴブリン達は皆同じように思った。
中には隠しきれない殺気を放っているものもいる。
笑顔で「A様？」と話しかけようとしているゴブリンもいた。

「あの！………嬉しかった、です」

「え？」

「その、自分はA様の事を本当に尊敬していて……そんなお方から抱擁を頂けて、本当に幸せです」

「ええー！そんなふうに思っててくださったんですか？！じゃあ頑張ったということで、ご褒美？でもう一度します？」

「お願いします！！！」

おい食い気味に言うな。

そして何故かまた抱きしめ合う(今度はゴブリンの方もA様の腰に手を回しやがっている)2人をみて、更に静まり返った。

もしここに異世界人がいたら、言っていたかもしれない。
「俺はなんのラブコメを見せられているのか……」と。

だがここにはゴブリン達しかいない。そんな彼はこう思った。

「リムル様に言いつけてやる……/俺もご褒美にしてもらおう……」と。

A様がご褒美に抱擁をしてくださったのは、リムル様が帰宅なさるまで続いた。