【題名変更】戦闘特化なのにあんまり戦ってない気が…… (ページ35)

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３４　Another side ページ35

？？？視点

初めてリムル様を見た時は、恐怖を感じた。
けど、初めてA様を見た時は、そのあまりにも美しいお姿に思わず見とれてしまった。

染めたとは思えないほどに自然で輝かしい黒髪を腰まで伸ばし、まるで人形のように整う色香の舞った容貌。
まさに、神に愛された美少女だと、その時は思っていた。

それがまさか男だったと聞いた時のゴブリンたちの衝撃といえば……申し訳ないが、A様の姿を5度見してしまった。
男？あんなにもふんわりと女神のような頬笑みを浮かべるA様が……男？
なんの冗談かと思ったゴブリンもいた。

だが、それは間違いだった。

夜中、牙狼族との戦いの時に見せた、弓を射る時のA様の真剣な表情を見て、まだ女だと言い張るゴブリンはいなかった。
鋭く瞳を尖らせて、可愛らしい顔は一瞬で凛々しく変わる。

あれは、ただ神や周りの人に愛でられて育ってきた姫君では無い。

何度も過酷な戦場をくぐりぬけてきた、戦士だった。

とは言ったものの、戦っていない時のA様は間違いなく女神だった。敬語だけどゴブリン達に対してもフレンドリーに接してくれて、慌ただしくもクルクルと走り回るA様を見て、こっそりと両手を合わせるものもいれば、危うい扉を開きかけたもの、最早豪快に自分から開けに行ったものもいた。

どうにかお近付きになりたいと思ってしまうのは、本能故仕方の無いことなのかもしれない。

そんなA様だけど、どうやら本人は自身の魅力的で誰からも欲しがられるであろうその美貌について、あまりよく理解していないのでは…？と思うところが何度もあった。

例えば、宝とも言える美しい髪の毛を乱雑に扱ったり。

例えば、傷1つ無い白くて透明感がある顔に泥がついていたとしても、特に気にしない……むしろ言われるまで気が付かなかったり。

なんというか、生まれ持った宝石をホコリの中にぶち込んでいるような感じなのだ。

なのでA様の知らないところで、ゴブリン達によるA様お世話係を決めるために激しくも冷え冷えとした戦いが毎日繰り広げられているのだが、その事にA様が気付く様子は全くなかった。