３１ Another side ページ32
リムル視点
「………俺、前は学生で、社会で働いた事がなくて……」
「えぇ？！そうだったのか！？」
いや、正直な話、薄々年下だろうなとは思っていたけど、まさか10以上、20近く歳が離れているとは思わなかったぞ？！
でも思い返してみれば、Aは俺の事を安心できるように抱きしめることが割とあった。
洞窟でも、森を歩いている時も、深夜の見張りでも……俺が定位活動状態になっている時も、Aは俺の傍にいようとしていた。
俺の肝があり過ぎるのか？と思ったこともあったが、下手したら未成年とは……あまりの年の差に、俺の心が冷えていくのを感じた。
俺ですら「若くして死んだ！」と思ったけど、Aはそれの比にならないくらい、あまりにも若すぎる。
Aの精神面に、もっと寄り添ってあげるべきだったと今更ながら気がついた。
それに、いくらAが強いからといって、学生の年齢の子には過酷なことを任せ過ぎた。
本当に、ごめんな……と謝るのは、あまりに軽すぎるほどに。
…………これからは、もっとAの事を気にかけよう。不安を取り除いてあげよう。
それが、年長者の役目ってものだろ。
「リグルド。俺のいない間、くれぐれもAのことを頼んだぞ」
「はっ！ お任せ下さい、リムル様の代わりに、しっかりとA様をお守り致します！」
ドワルゴンに行くための準備をしてくれているリグルドに、わざわざ頼むだなんて言いに行ってしまった。
あー、まぁ……ぶっちゃけ、強さ的な意味ではAの方が強いから、どちらかと言えばAが無理をしないように見てて欲しいのだが……
「ああいや、そういう事じゃなくてだな。Aをしっかりと休ませてやって欲しいんだ。あいつは今、昼もみんなの指示をして走り回っているし、夜も夜間警備で一日中動いている状態だ。だからそれとなくAに声をかけて休息を与えてやってくれ」
「なんと！？我々が不甲斐ないばかりに、A様にそこまでの苦労をかけてしまっていたなんて……分かりました。A様に頼るばかりにならぬよう、我らが一段と纏まって精一杯励ませて頂きますぞ！」
「ああ、頼んだぞ」
……とは言いつつ、Aのことだから、下手したら遠慮するかもしれないな。
出かける前に、もう一度Aには言い聞かせておくか……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 147人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：姫林檎 | 作成日時：2020年9月23日 12時
