委員長はとっても不機嫌 ページ2
「ふ、普通そこは『大丈夫?』とかって聞かない?」
「大したことねぇのに誰が聞くか、莫迦」
桜井君は、私が頭をぶつけた体育倉庫の壁にどん、と手をついた。
そして、長身をかがめて、私と視線を合わせてささやく。
「それより、お前、何回ヒトを昼休みに呼び出してるんだよ!
こんな時は告白が普通じゃねぇのか?
なのに、毎回毎回、俺に部員数が五人しかいねぇ、弱小バスケ部に入れって、それだけか?
他に言いたいことは、何もねぇのか?」
十回の呼び出しで、とうとうキレたらしい。
初めて見る桜井君の様子に、たじたじになりながら、それでも負けずに私は言った。
「だっ……だって!
桜井君、中学の時バスケ部でも一番上手かったじゃない!
なんで、高校ではしないの?」
そう頑張って聞けば、桜井君は、横を向き、つぶやいた。
「忙しくなったんだ」
「クラス委員長のお仕事?
だったら、私、手伝うよ!」
「うるせぇな!」
桜井君は、改めて体育倉庫の壁をどん、と叩いた。
桜井君が叩いた所、私の顔のすぐ側だ。
こ……怖い。
思わず、へたへたと座り込むと、桜井君は一瞬『ヤバ』って顔をした。
けれど、次の瞬間には、もう。
今までのことが嘘だったように普段の優しそうな笑顔を貼り付け、私と体育倉庫の壁から離れていった。
「あ〜〜あ、いつも期待してる俺が莫迦みてぇ」
なんて、そんな捨て台詞と。
呆然としてる私を残して。
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作者名:ほこらN | 作者ホームページ:https://www.berrys-cafe.jp/pc/member/n38979/
作成日時:2019年2月22日 16時