S君に、お・ね・が・い☆ ページ1
「桜井君! バスケ部に入ってください!!」
今日で十回目。
私が必死にお願いすれば、彼は、ふわり、と優しく笑った。
うぁ……やっぱり、桜井君ってイケメン〜〜
ちょっと固い笑顔だけど、思わず見とれちゃうよね〜〜
少し茶色のさらさらな髪。顔は、下手な俳優よりも整ってる。
テストをすれば、私の知る限り、毎回学年トップ。
ついでに私のクラス、1年1組の委員長で、バスケットがとっても上手いんだ。
まるで、雲の上の存在だけど。
この東高校唯一の同じ中学出身のよしみで、なんとかウチのバスケ部に入って欲しかった。
私が『お願いします』って頭をさげたら、桜井君は優しい声で、言った。
「お・こ・と・わ・り」
「……へ?」
一瞬、彼の言っていることが判らず、下げた頭を上げれば、桜井君に、優しい笑顔が消えていた。
切れ長の目を意地悪く細め、人差し指をピシッと突きつける。
「嫌だと言ったんだ、莫迦!
この前も、バスケはしないと言ったばかりだぜ?
いい加減判れよ、里香(りか)」
「えっえええ!?」
普段気配りの得意な、委員長なのに今『莫迦』って言った!?
しかも、私の名前を里香って呼び捨てにした!
いつもは、優しい声で『前原さん』って呼んでくれるのに!
笑顔がトレードマークなはずの桜井君、今日はなんか凄く意地悪だ。
教室にいる時と、まったく違うし!
私、驚いて大きく一歩下がったら、ごん、と体育倉庫の壁に頭をぶつけた。
「〜〜っう」
あまりの痛みに涙目になったら、桜井君はあきれたように言った。
「間抜け」
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作者名:ほこらN | 作者ホームページ:https://www.berrys-cafe.jp/pc/member/n38979/
作成日時:2019年2月22日 16時