店主と騎士は研究者と戯れる�� ページ29
「酒はどこまで行っても趣向品だ。これが主食になることはあり得ない。致死性のある主食など不可能だからだ。故に趣向品として少量でどこまで"美味い"と思えるか。これが最も重要だと私は考える。」
「ふむ、食糧問題に通ずるものがありますね。」
「そうだろうとも。たとえ保存期間が長くとも生産性が高かろうとも人間はまずければそれを口にはしない。人間の舌は複雑なもので生まれた時から口にした食べ物を好む。母親の味を庶民は好むのだ。だが残念なことに全ての母親が全く同じ料理を出しているわけではない。人間の味覚は実に多様な趣向を持つ。つまり、従来のものを品種改良しようにも味自体を変えるのは困難だ。」
「味を変えたら違和感を覚えた人たちが口にするのをやめる可能性があるから……？」
「その通りだ。」
小さいころから食べていたお菓子が少し味を変えて販売し始めた。
懐かして口にしてみたけれど、味が少し違うと首をかしげる。
そんな体験を少なからずしたことがあるだろう。
人は味というものを記憶し、好ましいモノは一生覚えているものだ。
それが先程の酒の話と何が通ずるのかと。
要は俺の持論から品種改良を言及すると、従来のモノは生産性を上げるにしても強靭な種にするにしても味を変えてはならず、新しいモノは慎重に選ぶべきである、ということだ。
何を言っているのかわからないと思うが頭を柔らかくして考えてほしい。
沢山の美味い物が食べたい、沢山の目新しい酒が飲みたい。
つまりそういう欲求を小難しく言っているのである。
話の内容に大した意味はないのだ。
「品種改良、というものを少なからず知っている。それでいて人としての超えられない味覚への欲を熟知している……素晴らしい。流石現人神たる人です。」
「現人神とて中身は人だ。美味いものが食べたいと思うのは仕方のない事。何のための味覚か。体に悪いものを見分けるための味覚だろう。であれば体にいいと思える、美味いと思えるものを探すべきだ。」
食は生活を豊かにする。
口にする食べ物が美味ければうまいほど人は心が満たされる。
我が国の孤児院が非常に環境が良く誰一人としてやせ細っていないことをグウェンダルが評価していたが、その際に最も支給しているのが食べ物だからだと答えた。
働く体、外へ出ようという元気、生きようと思える活力。
力をすべて出すためには燃料がいる。
より良い燃料を。
そう考えるのは何らおかしい事ではないのだ。
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午睡(プロフ) - crankyさん» ご感想ありがとうございます！頑張って更新してまいりたいと思います！ (2019年8月20日 21時) (
レス) id: c737663614 (このIDを非表示/違反報告)
cranky(プロフ) - めっちゃ大好きな作品です！(*'ω'*)更新楽しみにしてます！ (2019年8月20日 20時) (レス) id: c56a3e73e6 (このIDを非表示/違反報告)
午睡(プロフ) - 由亞-ゆあ-さん» ご感想ありがとうございます！更新の励みになります…！ (2019年8月19日 17時) (レス) id: c737663614 (このIDを非表示/違反報告)
由亞-ゆあ-(プロフ) - 年下×年上の .. ﾄﾞｽﾄﾗｲｸです .. * 2人が、繋がるのが待ち遠しいです♪これからも更新頑張って下さい！ (2019年7月22日 17時) (レス) id: 5570d39ba6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午睡 | 作成日時：2019年4月6日 18時
