大切にしたい若造騎士II ページ41
「あ、ああの？ギルさん？」
無言で二階へと上がっていくギルさんに手を引かれるまま居住区へ足を踏み入れる。
バックヤードから階段を上がって扉を開けると、リビングと思われる本棚やテーブル、少し大きめのソファーが置かれた広めの部屋。
質素な空間の奥に寝室と思われる扉が見えた。
何故だかわからないまま一直線に寝室へグイグイと押し込まれ、気がついた頃にはベッドに寝っ転がっていた。
え？俺なんでギルさんのベッドに寝っ転がってるの？
て言うかなんかギルさん覆い被さってきてる気がするんですけど？
え？え？
「…アルマ。」
なんだこれは。
なんだこの都合のいい夢は。
初デートそのままに愛する人の家でベットイン。
どれだけ手の早い人でもここまで性急じゃないだろうに。
マグロ状態で呆然とし、なにも出来ない。
そっと俺の首筋に顔を埋めたギルさんが俺の耳元で掠れるようなイイ声で小さく呟いた。
「…ナイフ、アルか。」
「ほぇ？」
思考がまとまらないけれど癖で護身用の短剣が入っている右胸ポケットに手を置いてしまう。
確認したギルさんが今度は耳の裏側に息を吹きかけるように片手は俺の手を掴んで服の中に忍び込んでくる。
流れるように俺の手に短剣を握らせた。
「聞こエルだろ？」
ギルさんの心臓の音が聞こえるような距離。
俺の心臓もバックバクで全身の血が全力で駆け巡っている。
ぐるぐると目が回りそうなほど空気に酔っていた最中。
ふと、乾いた音が聞こえた。
「っ！！曲者！！」
握っていた短剣を天井へ投擲する。
見事に突き刺さったナイフと共にガタガタと音を立てた屋根裏から何者かが蠢いて遠ざかっていく音がした。
チッと舌打ちしたギルさんが慌てて部屋を飛び出し、下の階へ降りていく。
何度かガタガタと音がしたが数分で戻ってきたギルさんは残念そうに首を振った。
「ダメ。逃げられてタ。」
「何者かが侵入してたなんて…。」
「俺もコッチ上がってくるまで確証が持てなかっタ。良く察してくれたワ。サンキュー。」
ギルさん曰く最初から何者かに後をつけられていたのだそうだ。
一度カイネのところで監視が外れたが、その後また後をつけられた。
ダウンタウンでも闇討ちは結構あるあるだそうでギルさんはその手の行為に敏感だった。
俺が騎士として護身用ナイフを持っていると踏んで屋根裏部屋に誘い込んだのだと言う。
尾行されていたなど全く気がつかなかった。
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午睡(プロフ) - 空弥さん» ご感想ありがとうございます！早めの更新を心掛けて頑張ります！ (2019年2月26日 19時) (
レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
午睡(プロフ) - ナッツさん» ご感想ありがとうございます！とっても励みになります…！ (2019年2月26日 19時) (レス) id: 3cc312a385 (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 絡みがすごく可愛らしくて好みです……！作者様のペースで更新頑張ってください、応援してます (2019年2月24日 13時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - 好きです!!!最高です！続きめっちゃ気になります！更新楽しみにしてます!!!!!!! (2019年2月24日 3時) (レス) id: 7b2bfdb44e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午睡 | 作成日時：2019年2月18日 19時
